わたしたちは、秩序はあるよりないほうがよい、と考えている。
しかし、そういったとりあげ方自体がすでに歴史的ではない。
秩序は、あるほうがよいか、ないほうがよいかという角度からみるべきものではない。
村や地域でつくられた秩序、たとえばノリやワカメの口明けの秩序は、資源を保護するために存在するのだ。
そして口明けは資源利用の平等、利益の均等という問題とかかわっている。
秩序は本来、必要によって生まれるものなのである。
(略)
秩序によって、山の生産物や海の生産物が最大限有効に利用でき、平等に分けられ、しかも資源が枯渇しなかったのである。
このような秩序がなかったら、こんにちわたしたちが利用する資源は絶滅していただろう。