モテない理由は明白で、自然児ぶりが行きすぎているからだ。

心平は小学四年生のころ、学校の観察池に大量発生したタニシをたくさん捕獲し、楊枝でちまちまと身をくり抜いて、家庭科室でかき揚げにして食った。ついでに、校庭に生えている雑草をおひたしにして食っていた。

心平の親は息子にちゃんとご飯を食べさせているし、給食だっておかわりしているのに、とめどなき食欲と言うほかない。先生に懇願された母親が、「やめなさい、恥ずかしい」と心平に拳骨を落とさなかったら、餅湯小学校の校庭は生き物のいない荒涼とした大地になっていたはずだ。
タニシを食べようだなんて、その根気と食への探求心と料理の腕前たるや相当のものだと怜は感服したのだけれど、女子からは非常に不評だった。そういうサバイバル能力は平時には要求されないのである。

不運にも直後、小学校で飼っていた鶏がトサカと脚だけ残して猫にやられたのだが、

それもいつのまにか「心平が食った」ということにされていた。

心平を見る女子の目はますます冷ややかになり、しかし心平はまるで気にしたふうでなく、

高校二年生になったいまでものびのびと飯を食い、球を蹴っている。