埼玉県秩父地方に分布する秩父町層からは、サメの歯化石が産出しますが、特にカグラザメ属の歯化石が産出することで有名です。

以前、上顎歯の歯列をアップしましたが、下顎歯の歯列を2回に分けてアップしようと思います。

(暑くて化石採集に行けない日々が続いています。このところ、2025年上期に採集したサメの歯化石をアップしていましたがネタが無くなってきました。そこで10年以上前に採取したカグラザメの歯化石を歯列としてならべてみたいと思っています。)





下顎歯と言えばまずは顎の中央に位置する正中歯です。

(過去にもアップしています。)

咬頭の向きが左右に分かれます。





下顎側歯の歯列は主咬頭(第1咬頭)と歯頸前端の距離をa、歯頸前端と歯根底縁間の距離をbとして、a/bの値によって決定されます。


下顎第1側歯
左顎の歯で、舌側面です。
咬頭数は9です。



下顎第2側歯
右顎の歯で、唇側面です。
咬頭数は10です。


次回以降に続きます。



参考文献
金子正彦・藤井孝二・高山義孝・坂本治(1997)
秩父盆地中新統産の315個の歯化石にもとづくカグラザメ属 Hexanchus sp.の歯列解析, 埼玉県立自然史博物館研究報告 第15号別刷, 17-32











双葉層群の化石産地でサメの歯化石を採取しました。

が⋯化石付近をハンマーで叩いてしまったようで、バラバラになってしまいました。



部品をかき集め、何とかつなぎ合わせました。



舌側面です。

高さ14mm、幅20mmです。



唇側面です。



主咬頭切縁の鋸歯部分を拡大しました。
鋸歯の上部(写真左上の部分)は欠落してしまっていますが咬頭先端に向かって大きくなっているので、ノトリンカス属のサメの歯化石だと推定しています。

Notorynchus sp. (the Futaba group, Fukushima)

歯根の一部が欠落してしまいましたが、全体像が推定できるノトリンカス属のサメの歯化石が採取できました。

双葉層群の化石産地で写真の産状のサメの歯化石を採取しました。

歯根に中央溝が見えます。
珍しいかも⋯


クリーニングを開始しました。



全体像が見えてきました。
高さが22 mmあります。
中央溝があるので、その形状などから、オオワニザメ科のサメの歯化石だと推定しました。これまでに採取したオオワニザメ科のサメの歯化石としては大型です。


クリーニングを続け⋯


全体が露出しました。
主咬頭先端と右側の側咬頭が欠落していますが、歯根や2対ある左側の側咬頭などの保存状態は良好です。


母岩から外しました。


舌側面です。





唇側面です。
高さ22mm、幅20mmです。


主咬頭下部に線条が見られないこと、近心側の側咬頭は欠落していますが、二対の細い側咬頭があること、主咬頭唇側面にわずかな膨らみがあることなどから、オドンタスピス(オオワニザメ)属のサメの歯化石ではとも思いましたが、歯根先端の形状はカルカリアス(シロワニ)属のサメの歯化石の特徴とも見えるため、ここでは、オオワニザメ科のサメの歯化石としておきたいと思います。

Odontaspididae gen. et sp. indet (the Futaba group, Fukushima)


これまでほとんど採取したことの無いタイプの私どもにとって珍しいサメの歯化石です。





双葉層群の化石産地で写真のサメの歯化石を採取しました。



長さ約4mmしかない主咬頭と更に小さい左右の側咬頭が見えています。唇側面です。
歯根が保存されていると良いな!


クリーニングを開始しました。



全体像が見えました。歯根も残っていました。
嬉しい!


クリーニングを続け、母岩から外しました。


舌側面です。


拡大しました。
高さ6mm、幅6mmの非常に小さなサメの歯化石です。分かりにくいですが、中央溝が確認できます。


歯根にヒビが入っていますが、保存状態は良好です。




唇側面です。


拡大しました。

歯根舌側面に中央溝が見られることと、形状から、カルカリアス属(carcharias sp.)のサメの側歯化石と同定しました。


Carcharias sp. (the Futaba group, Fukushima)


いわゆる表面採集では、小さい化石を見つけるのは簡単ではないと言われていますので、小さな、それも、完形が採取できると、とても嬉しいです!




双葉層群の化石産地で写真の産状のサメの歯化石を採取しました。

7月に入ってからは、暑くて化石採集に出かけていません。ここのところアップしているのは、2025年上半期(1〜6月)に採取したものです。


唇側面全体が見えています。
写真左下の歯根が欠けていますが、露頭を探し、欠損部分は回収できました。


クリーニングしました。


舌側面です



歯頸帯もはっきり確認できる非常に保存状態の良好なクレタラムナ属のサメの側歯化石です。




唇側面です。
高さ20mm、幅20mmです。

Cretalamna sp. (the Futaba group, Fukushima)


この産地ではサメの歯化石の中ではクレタラムナ属のサメの歯化石が採取される頻度が高いですが、歯冠、歯根ともこれくらい保存状態が良いサメの歯化石を採取できるのは非常に稀です。
嬉しい!



7月30日にアップしたサメの歯化石と並べて撮影しました。

この二つのサメの歯化石は別々の日に採取しましたが、近い場所(おそらく同じ層準)から見つけました。主咬頭の傾きに差異がありますが、側咬頭や歯頸帯、歯根の形状などに類似点が多く、保存状態も非常に良いことから、もしかしたら同じ個体の歯化石では…などと想像しています。



参考文献
Siversson et al. (2015) Late Cretaceous (Cenomanian-Campanian)  
mid-palaeollatitude sharks of Cretalamna appendiculata type.
Acta Palaeontologica Polonica, 60(2) 339-384