双葉層群の化石産地、異物が大量に堆積している層から、サメの歯化石が出てきました。主咬頭の先端のみが見えていただけでしたので、これまでの経験から主咬頭のみだろうと思い、撮影せずにクリーニングを始めたところ…


主咬頭に亀裂があるものの、ほぼ完形のサメの歯化石が出てきました。

主咬頭の周りに見える異物を大量に含む層にこのサメの歯化石が埋まっていました。
堆積する際にかなり撹拌されたと思われるため、これまでは、このような層からサメの歯化石が産出しても、割れている場合がほとんどでした。

ラッキーです!


従来、クリーニング、修復用の接着剤としてはアロンアルファを使っていましたが、今回は博物館などで使われる、パラロイドのアセトン溶液を使いました。



パラロイドの5%溶液を歯根部が割れない様に塗布して母岩から外し、主咬頭の割れている部分をパラロイド20%溶液で接着しました。



舌側面です。



唇側面です。
舌側面の亀裂を上手く接着することに集中したため、唇側面の亀裂が上手く繋げられませんでした。


パラロイド溶液の強みは、再補修のしやすさにあります。アロンアルファでは一度接着してしまうと、やり直しはとても大変です。


主咬頭を接着した部分にアセトンを塗布しました。固まっていたパラロイドは簡単に溶解し、楽に剥がすことができました。
接着面には溶解したパラロイドが残っているので、そのまま再度、接着にチャレンジしました。


舌側面です。



唇側面です。
1回目に比べて、舌側面はほぼ同等、唇側面は良好に接着することができました。

高さ20.1mm、幅17.1mmのクレタラムナ属のサメの側歯化石です。




パラロイド溶液は綺麗に補修するのに、やり直しがしやすくとても便利な接着剤でした。一方、アロンアルファに比べて、接着に時間を要するため、接着後、そのまま暫く保持しておかなければなりませんでした。


アロンアルファとパラロイド溶液を上手く使い分けしながら、化石のクリーニング、修復に取り組んで行きたいと思います。