今回はインフレの本当の原因についてです。

 

インフレでもなんでもとりあえずプーチンのせいにしようとするプーチン症候群の患者さんが多くいるようですが、実際に物価が高騰し始めたのはロシアのウクライナ攻撃よりもっと前の話です。

(WorldBank)

 

物価高騰の本当の原因は、ここ半世紀ほど続く(日本を含む)西洋経済のPLPDの低下にあります。PLPD(Potential Relative Population Density)とは、将来的にどれだけ多くの人口がより優れた文化・教育・生活水準を享受することができるかという、経済学者ラルーシュが発案した経済基準です。PLPDを高めるには、インフラ整備などを行い実体経済を充実させる必要がありますが、ここ半世紀ほど、それとは逆に通貨供給量と金融供給量だけが肥大化し、実体経済への投資はなおざりにされてきました。1971年の変動相場制導入以来、経済はギャンブル化の一途を辿り、問題が起きてもそれを正すことなく雑にお金をばらまく傾向はいずれハイパーインフレーションを招くとして、ラルーシュは以下の図を用いて、1990年前半から既に警鐘を鳴らし続けてきたのです。ですから、現在のインフレはただのインフレではなく、1920年代ドイツのような状況になる可能性が非常に高いと考えています。

 

(インフラなどの実体経済への投資が減少していく一方、デリバティブなどの金融供給量(バブル傾向)が増加。その金融業界のギャンブルを持続させるために政府が通貨供給量を増加させてゆき、最終的にばら撒かれた通貨供給量が金融供給量を上回ってしまうことでハイパーインフレーションはおこる。)

 

ここ半世紀のインフレ傾向を生み出してきた要因は以下の通りです。

 

1971年 

ニクソン大統領はゴールドと米ドルの交換を停止し、よりギャンブル性の高い変動相場制を導入。

 

2008年

サブプライム住宅ローンなどのギャンブルで負けた銀行や会社に対し、米中央銀行は緊急財政援助策(ベイルアウト)として15兆円をばら撒く。

 

2019年

ジャクソンホール会議において、ブラックロックやマーク・カーニー(前英銀行総裁)は中央銀行24社による国庫の支配を強め、国際的にグリーン投資を推進することを提唱。聞こえはいいかもしれないですが、薬物中毒の人が禁断症状を避けるために「もっと薬くれっ!」と言っているのと同じです。ウォールストリート系の銀行はその預金のほぼ半分をギャンブル性が高い(即効性のある/昔は違法だった)投資に回しており、世界の1日当たりの為替取引量である5.5兆円の99%はそのような悪質な部類です。そのバブルマシーンを維持するためのグリーン投資なのであって、環境保護なんて全く関係ないのです。

 

2021年

この傾向にさらに拍車をかけたのがグラスゴーCOP 26です。ブラックロックやマイケル・ブルンバーグが音頭を取り、世界の大手銀行50社が130兆円をGlasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)というグリーン投資につぎ込むことになったのです。この協定の中で重要なのはその投資先ではなく、投資されなくなった分野です。石炭や石油関係の生産や物流に関わるビジネスに対して一切信用を貸し出さないとしたのです。2019年のジャクソンホール移行、この傾向は石油や石炭、電気も含む関連物資の価格高騰の原因となってきたのです。

 

そしてこの上にさらにロシア制裁がドーンッときたわけですから、ロシアの石油・天然ガスなどの輸入禁止や農業用肥料の高騰で経済崩壊の危機に陥っているのはロシアではなく日本やドイツなどの西洋経済です。

 

タンク半分の石油でも「心配ご無用!」と豪語して、お国のためにと死んでいく…

日本、もしかしてまたあのパターンですか?!

 

イーロンムスクはそれでいいかもしれないけど、それではさすがに残念すぎる!解決のカギは、ギャンブル依存者と化した西洋経済がいかに実体経済という現実に向き合い、発展していけるかにあります。まずはグラス・スティーガル法の再生を。