学校の給食が嫌いだった。
スープにもオカズにも野菜、野菜。
小学校から中学校はずっと白米と牛乳だけを食べてきた。
スープに入っている野菜も、オカズの野菜も全部嫌いだったから。
一日目。
「ラーメン、ねぎとチャーシューともやしと・・・・・・野菜全部抜いてください」
「言いなれてるねぇ」
「そりゃ10年以上言い続けてる言葉だからね」
花の高校二年生の私は食べ物の好き嫌いが激しい。
野菜は大抵食べれないし、カレーもハンバーグもずっと嫌いだ。
野菜意外でもお肉の脂身やホルモン系、魚にも好き嫌いがある。
基本主食かお菓子だけを食べて育ちました。
おかげで日ごろから立ちくらみがひどく、顔が青白いと言われます。
チークを塗ると今日顔色いいねとほめられます。
好きな食べ物はチョコレートとゼリー。嫌いなものは野菜全般と肉の脂身!
これからあと年金受け取るまでは生き続けたいと思っております!
やばい、死ぬかもしれない。
テストの点数が悪いからとかじゃなく、真面目に死ぬかも。
ラーメン食べて、友達と遊んで、帰るために電車乗ってバス乗って、
バスの中で寝ちゃったんだと思うのだけど、今、森。
え、森?なんで?
私が乗ってたバスは駅から駅に行くはずだし、そんな田舎なわけでもないので森なんて
近くにないし、どういう経緯を経て森?
大木や雑草が生い茂っていて、人の手が入っていないようだし多分林じゃなくて森。
いや、今は森か林かなんてどうでもいいんだよね。
どうして、森に来たかなんだけど。
私を誘拐するにしても、私を一人森に置いていく意味が分からないし、
さっきも言うように駅につくバスだから森なんて来るはずがない。
今は昼間のようで、歩いていると時折射す太陽がまぶしい。
あまりいっぱい歩くと怖いので荷物を置いてその周辺をぐるりと回ってみた。
特に意味のない行動で、オシャレではいてきたかわいいハイヒールの靴が少し汚れただけだった。
なんで今日こんなオシャレ着なんだろう。
久々の外出なのでミニ丈のベアワンピースに薄い上着、ハイヒールは11cmと高めのものだ。
こういうことになるならもっと動きやすい服装で着たのに。
誰が予想できただろうか。
ショルダーバッグには化粧品と折り畳み傘、ハンカチに入れっぱなしのパチンコのティッシュ。アイフォンとその充電器。
手鏡も一応。お腹すいたとき用にチョコレートと飴とグミがいくつか。ちゃんと飲みかけのサイダーもある。
アイフォンは森の中ということもあって圏外が表示されている。勿体無いので電源を切っておいた。
寂しいのでサイダーの飴を口に放り込む。しゅわしゅわーっとしてほんとに炭酸ぽい。おいしい。
何もすることがなくて、できることがなくて、一日中歌を歌った。
二日目。
「れりごーれりごーれりれり・・・・・・」
そろそろ歌うのにも飽きた。
初めて森の中で動物を見た。まあ小鳥さんだけど。癒された。
飴がもう半分もない。大切に食べていこう。
こういうことは初めてなので夢のような感覚だ。
なんとなく現実っぽいのだが、嘘のようで実感がない。
気楽にまた歌でも歌おうか。
三日目。
そろそろ空腹過ぎて気持ち悪くなってきた。
チョコレートを食べてしまった。
飽きても歌を歌うことにして、ずっと男性の曲ばかりなことに気づいた。
あと全部友達から教えてもらった曲だった。
私あまり歌に興味ないのかも、と歌いながら思った。
四日目。
胃も諦めて鳴ることをやめた。
すでに炭酸のないただの砂糖水を飲み干した。
そろそろ救助が出ないと死ぬかも知れん。
飴が残り数個になった。
腕時計で時折時間を確認しているが、睡眠時間がすごく延びた。
お経かなんかを唱えていれば即身成仏できる気がした。
あと何日かかるだろう。
五日目。
最近すごく頭が痛い。寝ている時間がもっと増えたが、睡眠が浅いようだ。
六日目。
余計な体力を使わないようめっきり動かなくなった。
太陽がまぶしくて、いつも薄め状態だ。
ああ、眠い。
七日目。
薄い意識の中、足音がした。
次第にそれが近づいてきて、人間のものじゃないことに気づく。
まぶしくて辺りが観察できないが、こちらに近づいているような気がする。
死んだら熊にでも食べられてしまうのだろうか。
そう思っているといつの間にか、音の主が目の前にいた。
反射で肩がびくりと動いた。
「生きているのか・・・・・・?」
馬だ。馬の足しか見れないが、誰か乗っている?
ここは誰かの私有地だったのだろうか。
見つかってよかった。
助かった。
安心すると、久々に夢を見た。