そして、本日がその予定日だった日。
出産する約1週間前に検診に行ったら、はい、即入院!と言われ、そのまま出産をしたので、準備もままならないままの我が家に踏み入れたM。すごく忍耐強くて、老齢夫婦があれやこれやと準備をしたり、慣れない手付きで初めての事を体験する間、泣かずに辛抱強く成されるがままに全てを受け入れて3週間。体重も無事3キロ位になり、少し安堵。
香港はサナトリウムというハッピーバレーにある私立の病院に入院、そして出産。日本で出産体験をしていないので比較はできないが、妹の経験を見聞きしたのでそれと比較すると、効率的、無駄が無い、私立病院ならではのサービスが充実、中華料理の充実メニュー。。。と言った所だろうか。
病院経営側としてはあまり長期滞在されては困るので普通分娩だと2泊で退院、帝王切開で3泊。お風呂の入れ方やら、オムツの替え方、母乳育児の徹底等の教育は彼らの業務範囲ではないので、殆どなし。聞けば教えてくれる場合もある程度。お風呂の入れ方に至ってはDVDを渡されたが、全て広東語なので参考になるような、ならないような。ただ、これは医師、助産師、看護師が冷たいかという議論ではないので、そこはすり替えてはならない。それぞれスタッフは非常に暖かかったし、母親と赤ん坊の健康状態をかなり細かくチェックしてくれ、フォローもしてくれるし、情報開示もしてくれる。ふとこの効率重視な考え方は、投資銀行で働いていた頃の事を思い出し、腹も立たず、妙に心地よい。香港の病院でも一緒なんだな、と。
私立病院の良さは、それだけお金も払っているので、患者の意向にかなり従ってくれるし、その意向をスタッフ全員で共有されていることだ。陣痛開始早々から無痛への切り替え、へその緒は夫が切る、出産直後に肌と肌で触れ合えるようすぐに抱かせてもらう等、相当細かなところまで書き出した出産計画(Birth Plan)を提出しておいたが、助産師、看護師は当然のこと、一瞬しか立ち会わない麻酔科医、小児科医までが全てを把握していた。政府系の病院でも、出産計画書は提出するが、病院側の方針もかなり通されてしまうらしい(出来る限り無痛分娩にはしない等)。さすが、お金に物を言わせる国だ。
そうそう、驚いたのは政府系病院はOctopus Card(日本で言うとスイカのようなもの)で支払いが出来る位の金額、要するに日本円にすると5000円~8000円で出産出来るらしい。それと比較すると私立の病院は150万円~200万円程度。香港は日本と違い、任意保険制度なので保険のカバーが無いと私立病院での出産はかなり厳しいが(我が家!)、初産で且つ外国人である我々が政府系病院を選ぶ勇気も無いと自ずと出産できる病院は限られてくるし、保険のカバレッジがしっかりされるよう計画的にもなる。
出産後の検診やら予防接種やらで毎回2万円位が羽ばたいていくのを見るにつけ、政策が正しいかは別として、一庶民としては日本の国民皆保険と、区や会社からの助成金、祝金がジワジワと羨ましいと思う、そんな出産後三週目を迎えている。
