昨年からだろうか。母は美容院に行かなくなった。
昔ながらの「パーマ屋さん」のノリで、予約せずにいきなり店に行くものだから、満員の時は当然断られる。被害妄想的には、それは
「年寄りは髪を切ってもらえない」
ということになり、あそこにはもう行かない、行けない、となってしまう。断られてふらっと入った近所の美容院にはエステ用の寝台か何かがあったのか、
「変なベッドみたいなのがあって、いやらしいことをしている」
となる。
そして男性の美容師さんが嫌い。
今時そんなこと言ってたら行くところがなくなるのは当たり前なのだが、「パーマ屋さん」しか知らないおばあさんには通用しないのだ。
というわけで、最近はうちの浴室が母の行き付けヘアサロンとなっている。担当は当然私。幸か不幸かあまり注文がうるさくないので、適当に切っても文句は出ない。適当にちょきちょき切って、何回かに一度は首も剃って、毛を払い、ブローで仕上げて完了。今日は手足の爪が伸びていたのでそちらもお手入れ。
なぜか髪を切っている時と爪を切っている時は割とおとなしいので、これは結構楽しいのである。会話が成り立たない母との数少ないコミュニケーションだ。プロから見たら、すごく変な髪になっているんだろうけど。