「貸し渋り対策法案」は1年の時限立法で | ワールドフォーラム・レポート

ワールドフォーラム・レポート

真実が未来を開く学び舎・実践塾
マスコミが報道しない出来ない本当の情報・ニュースを広く伝播・共有する場として、各方面よりその分野の第一人者を講師としてお招きし39年継続している勉強会です。

 鳩山新政権が目玉にする副大臣主催の政策会議が金融庁でも14日、初めて開かれた。大塚耕平副大臣は「貸し渋り・貸しはがし対策法案」策定の経緯を説明す るとともに、同法が1年の時限立法で、早ければ23日開催とも言われている臨時国会当日に閣議決定し、提出したい考えを示した。

ワールド・フォーラム経済レポート
金融庁の第1回政策会議冒頭であいさつする大塚副大臣(撮影筆者)

 会場の参議院会館第1会議室には与党3党から80人ほどの国会議員が集まった。まず、同庁の任務と課題、平成22年度概算要求、金融危機を受けての国際的な議論動向について非公開で説明があり、その後大塚副大臣が「貸し渋り」法案の検討経緯について説明した。
 
 大塚氏は、政策会議が「政治主導」を掲げる連立政権の試金石であり、「貸し渋り」法案が金融庁でのイニシャルケースとなることを強調。「自民党政治では 霞ヶ関に法案が出てくるときには調整が終わっていて、国会でどんなにいい議論をしても閣議決定された法案は一言一句変えない流れだった。政策会議は事前了 承機関ではいけない」と会議への期待を述べた。
 
 同法案については、5日に与党ワーキングチームによる1次検討の後、9日の2次検討で考え方・骨格が決まり、大臣了承された。現在、関係省庁との調整と関係諸団体からの意見聴取を行っている。
 
 今後の日程について大塚氏は、来週の19日か20日の政策会議で内容の議論を始め、場合によっては閣僚委員会を経て閣議で成案化される道筋を示した。その上で、「仮に政府の出した法案でも、国会審議で修正を受ける。これが国会本来の姿だ」と公論に決す意欲を示した。
 
 法案作成の手順変更がマスコミの姿勢を変えることにも期待し、「今までの報道は政局中心だったが、これからは政策の中身が取材の対象になるだろう」と述べた。
 
 成立プロセスを重視することから、法案の考え方・骨格は、与党議員にも配られていない。第1回のこの日は5本の柱を書いた「概要」を示すにとどまり、出席した委員からは「現状分析できる資料を」といった声も出た。
 
 プロジェクトチームのメンバー選出の基準についても委員から質問が出た。大塚副大臣は「3党の代表に入っていただく方向で選んだ」としながらも、試行錯誤の段階であることを強調。「あくまで、今回は前例にはしない」と理解を求めた。
 
 「この法案は特別措置か、恒常的な法律か」との質問に対しては、「時限立法だ。まず、1年で検討を進めている」との考えを示した。
 
 会議の後、大塚氏は記者団の質問に答え、1年の時限立法にした理由を「2、3年にすると、景気回復しないのかというふうにとらえられかねない」と説明した。
 
 財源に想定する信用保証協会の活用については、既存の枠と新規の枠の両方を検討対象に入れていることを明かした。「残り15兆円のほか、別の枠を確保できるかどうか、協会と財務省、経産省と調整中」とした。


高橋清隆の文書館

高橋 清隆