と丹羽春喜教授(21日、撮影:高橋清隆)
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ワールド・ブロガー協会は21日、都内で設立記念講演会と第1回取材会を開き、ブロガーら150人を超える市民が和佐隆弘元日経論説委員や亀井静香国民新党代表代行、丹羽春喜大阪学院大学名誉教授の話を聞いた。終わりにはえん罪事件に巻き込まれた経済学者の植草一秀氏が登壇し、マスメディアが伝えない情報発信の必要を訴えた。
同協会はインターネットへの監視や規制が強化されているとの警戒感から設立された。マスメディアが正しい情報を伝えない中、個人ブロガーが連帯することで互いを守ろうとの狙い。今回の設立イベントは、ブロガーが共同で真実発表の場も設けようとの意図がある。
第1部は「日本経済新聞問題の本質」と題する取材会で、和佐隆弘氏から日経株主訴訟について話を聞いた。和佐氏は記者クラブ制と再販制、日刊新聞法が三位一体で日本経済新聞を「御用新聞」にしている構図を明らかにした。会場からの質問に応じて日刊新聞法成立の経緯に触れ、1951年にGHQの管理が終わるとき自主検閲を名目につくられた制度であることを指摘。新聞社の定款で株式の譲渡を制限できると定めていることを挙げ、「取締役が株主と株数を決めるのは、少数株主の意見を排除する」と問題提起した。
その後、佐宗邦皇(さそう・くにお)代表世話人があいさつに立ち、国民新党の議員を招いた経緯を説明。「200兆円の財政出動を緊急提言したが、どの新聞を見ても、ろくに報じられていない。これは公党に対する差別的な取り扱いだ。代わりに小沢一郎秘書の献金疑惑など、本質からそれた問題ばかり取り上げている」とマスコミの現状を嘆いた。その一方で、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権や米国のオバマ政権誕生の例を挙げ、政権づくりにネットが果たす役割を強調した。
第2部では、亀井静香衆議院議員が経済をテーマに講演した。20世紀初頭からの経済思想と政策の変化について、マルクス主義を受けたロシア革命やケインズ政策の登場を説明した後、ネオコンの台頭に言及。「修正資本主義をさらに修正して、弱肉強食の社会を『活力ある社会』と称賛して社会政策も経済政策も行われた。この象徴的な形での破局がサブプライム問題に始まる金融危機だ」と市場原理主義を批判した。
第3部は「世界の流れは大型の『財政出動』へ!!」と題し、亀井氏と丹羽春喜教授が対談した。丹羽教授は経済政策の根底にあるのはマルクス主義とケインズ主義、つまり歴史の流れに任せる考え方と歴史には不条理が伴うとする考え方があることを説明。ハイエクが計画経済も福祉国家も批判したことに言及し、「結局どんな体制がいいか、何も言っていない、ほったらかしの状態で新古典派が出てきた。ルーカスやフリードマンの考え方が祭られた中で、日本では小泉時代の暴走があった」と振り返った。その上で、「ケインズ的な経済、財政政策を採り入れ、国民の幸せにしなければ」と主張した。
亀井氏は財務省の覇権性に触れ、「会社に例えれば経理係にすぎないこの省が国家になりきってるのが問題だ。なぜ日本の予算は景気をよくするために使われないのか。この7年間、(GDPは)550兆円から500兆円に縮小する一方、借金だけが530兆から800兆円を超えるまで増えている」と政策の現状を憂えた。
丹羽教授は「平成不況が始まったころ、宮沢内閣をはじめ歴代内閣が相当大きな規模の景気対策をやったが、効果がなかったように言われている。ケインズ的な有効需要創出策は駄目なんじゃないかと思われているが、理性的な有効需要刺激策の効果は明らか。政府支出を200兆円にすると、乗数効果で家計消費が300兆円生じ、合わせて500兆円。いくらでも経済を成長させることができる」と財政政策の有効性を説明した。
終わりのあいさつで、植草一秀氏が紹介された。2004年の品川駅の手鏡事件は一審の有罪で確定しているが、佐宗代表がたまたま酒の席で裁判長と一緒になったときに直接聞いた話として、心を偽っての判決と示唆されたことを明かした。2006年に京浜急行の電車内で起きた事件の罪に問われ上告中の植草氏は、「罪を犯しているなら潔く認めて償う。現実に大きな辱めを受けているが、心に一点の陰りもない。裁判では無実を証明する目撃者が現れたし、繊維鑑定の結果も無実を明らかにしているが、全く報じられない」と釈明した。
発言の場を奪われた植草氏は、昨年春ブログを始めた。「政治権力は警察や検察、司法に加え、情報を支配している。これを打破しなければならない。明治維新は全国3000万人口のうちの3000人の志士が成し遂げたが、1万人の心の熱いブロガーが日本を変える潜在力を持っているのではないか」とブロガーの連帯に期待を寄せた。【了】
■関連情報
高橋清隆の文書館
ワールド・ブロガー協会
和佐隆弘公式ウェブサイト
国民新党公式ウェブサイト
亀井静香公式ウェブサイト
丹羽春喜公式ウェブサイト
植草一秀の『知られざる真実』
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パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆【神奈川県】
