偶数月の第一金曜日がただの週末に戻る。
6回のフライト終えて、静かにパーティーが着陸して、深く深く地面に沈み込み、元の場所に戻り、もう二度と朝日を目指す夜間飛行をすることはない。
それがどんな意味なのか未だ俺にはわからない。わかりたくないだけかもしれない。けどどっちにしろ、そんなことがわかったところで俺はどうしたらいい。
昨日の夜は何時始まって何時終わったのか。今日という日常はいつから始まり何処まで続くのか。同じミラーボールの光を体全体で浴びたあいつやあの人は何処から来て何処に向かうのか。
パーティーが永遠に続くわけじゃないことくらいわかってた。どれほど特別な夜のプレシャスな瞬間瞬間も、時の流れに風化し日常という時間に薄く溶けて流れていく。そんなことはわかってた。
ただ今はそれが馬鹿みたいに切ない。やるせない。
誰かが消えてなくなるわけじゃないのに、その誰か同士が集まって一つの空間を造り、特別な時間を紡ぐ、ある種の枠みたいなものがなくなる。枠の中にいた人間たちは液体みたいに、後は好き勝手な方に流れて行き、再び同じように集まることはない。
そんな大きな決断も失速の最中で為されたものだから、切れ味は鈍く、傷は深くないが妙に痛む。
目指した山は高くそびえ、志半ばで踵を返すことを選んだクライマーは、挫折そのものを胡麻化したくて、笑いながらありきたりな言い訳で荷物を降ろす。
結局時間ってやつに負けた。自分の弱さを認めそこにへたり込んだ。音楽の暖かさに甘えてしまった。忙しさという渦の中に飲み込まれ、それに抗うことを放棄して消えていった。
何だかまるで実感が湧かない。
静かすぎた。
冬に燃えた火は同じ季節を迎えることなく、気温と共に熱も冷めた。
ごくごく、自然な現象だったのかもしれない。
よくある話だとも思う。
変わらない思いと盲目に信じる何か。それと同時に変わってゆく肩書きや付随する状況。そこにずっと留まりたいと願っても、しがみついたまま時間は流れて行く。
3人が都内も地方も関係ないと結束した。いい音さえあれば場所なんて軽く超えられる。そう語り握手を交わした。
1人は東京というデカい街で闘ってた。2人は住んでる街の状況を少しでも変えたいと青白くくすぶっていた。
そんな3人が偶然出会い、互いの火を持ち寄って1つの夜を照らす炎に近づけようと、若さ特有の迷いや惑いや向こう見ずな信念とかっていうもので、周りの人間を巻き込みながらただ走ってきた。
10月に1つの火が消えた。
もう何処にもその明るさを見つけることができなくなった。
今何処で何をしてるのか、息をしているのかというそんなことすらもわからない。
冬の寒さに血の巡りは遅くなり、独りよがりな孤独が残った脆弱な火を匿った。
ラストプレイ。消えていった1人がよくかけていた皿を2枚繋ぎ、勝手にそいつに捧げてみた。その曲が爆音で流れるブースの中で俺は何故か静寂を聴き、そっから見える風景が遠のき、ぼやけてた。
俺たちのために笑ってくれる人がいるから俺は笑った。
俺たちのために泣いてくれる奴がいるから俺も泣いた。
いい音楽に敬意を払い、そこに集まってくれた全てのステッパーズ、ストイックなジャンキー、いかれた音好きたち、パーティーピープル、ラスタ、B-Boy、酔っ払い、俺の愛する人、俺たちを思ってくれてる全ての人たちにただただデカい感謝とこんな形でしか終われなかったことに対する寂寥の裏の申し訳なさと情けなさの中で幕は閉じる。
俺の思いをANNUI DUBの上で歌うBOSSの言葉に乗せた午前3時。それは遠くまで飛ぶことはなく光だけが眩しいフロアにへばりついていた。それでも俺は言わなくちゃなんない。
「ありがとう俺の友だちよ」
それだけ。
何かが終わると、どうにも切なくなってみせる人間とそうじゃない人間の2つのタイプに分かれると思う。終わってしまえば、存在そのもや何もかも、この世には残らなくなってしまうんじゃないか。だから、人は自分の銅像を立てたり、でっかい墓を作らせる。
自分の力がいかに大きなものかを誇示するため。
自分が確かにこの世界で何かを成し遂げたということを形にして残すため。
人の記憶なんていい加減で、なんでもすぐ忘れてしまう。けど、それで、「よい加減」なんだと思う。何かを捨てていかなければ推進力は鈍る。
次に進むために、ここに記念碑を残して置こうと思った。
12/3


空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ/Fishmans
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"アワヤスカEP"














