私は学生(音大生)の時に、イタリア語の歌をテノールで専攻していたのですが、当時の師匠から、男声の高い声で歌う歌手の「テノール歌手」としてではなく、男声の中くらいの高さの声で歌う歌手の「バリトン歌手」としてドイツリート(ドイツ歌曲)を専門に歌うことをお仕事にしてみたら如何とのアドバイスを頂き、大学の教養の単位の選択の授業でドイツ語をやることになりました。

そして、当時、ドイツ語の歌詩を読むと、ドイツでは「五月」という月を、最も美しい時期だとしているのだそうです。

そして、ドイツ語の先生に、「いつか、五月にドイツに行ってみたいのですが、良いものですか?」とお尋ねしたら、「学生なら、そんな旅行費の高い季節はやめておきなさい。せめて、旅行費の安い二月とかにしなさい。」とのお返事でした。

日本やイタリアでは、春といえば「四月」が最も美しい時期だとされますが、ドイツは、日本やイタリアよりも北にある国なので、寒いので、春と言えば「五月」なのだそうです。

今は、テノール歌手として、何語でも歌える歌手を目指していますが、しかし、未だに叶わない五月にてのドイツ旅行です。

しかし、32歳まで人生を歩んできて、人生とは、そう思い通りになるものではないと理解した今頃、そんなことを思っていた自分を思い出し、その懐かしい思い出に微笑んだ今日でした。