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ワールドウォッチャーの『世界に喝!』

現中国在住、全世界を飛び回ってきた元商社マンが酔った勢いで物申す。偏屈斎!

  中山市に住む四十年来の友人から広州市の古い塔を写真に撮りたいと連絡が入った。文化財保護を愛する吾輩に依存はなし、土曜日に広州市地下鉄の(西門口)で待ち合わせ「光孝寺」に向かった。この寺には吾輩は何度か訪れている。広州市の中でも最も古く由緒正しき寺院で前回訪れた時は寺の正門の建て替え工事をしていた。

  新品の正門になっていたが、違和感を覚えた。伝統ある古いモノを保存する感覚はなく、新しいものに作り替えてしまう。伝統的な寺院の柱も元々は朱塗りであったものが、ペンキで赤く塗ってしまう。法隆寺の柱も朱塗りであったが、これを赤いペンキで塗る感覚は我々にはない。

  これは漢代に造られた鉄の塔。上の方が消失しているが、よく残っていたものだと思う。

 

  

  我々日本人は宗教心がないと云うがどうなのだろう。吾輩は思うに、美意識という感覚で普段の生活の中に溶け込んでおり、ただ意識していないのじゃないかな。来月は師走、そろそろ大掃除が始まるが、国民が一斉に掃除を始める国は他にあるだろうか。掃き清めるとすがすがしい気持ちになるこの感覚は一種の宗教じゃないかな。日本の神社は常に掃き清められている。ご神体なんぞの偶像物はない。鏡が一枚あるだけかな。

 これは唐の時代に造られた塔。この塔の周りを若い参拝者が拝みながら何度も廻っている。何が起こってもおかしくない予測不透明なこの国では祈る以外に心の均衡を保てないのじゃないかな。