幸福を追求する心理学 「ポジティブ心理学」とは
心理学は長い間、心の病気にどうしてなるのか? どうやって治すか?が
研究の中心としていました。
全米心理学会会長を務めたマーティン・セリグマン博士は、会長に就任するにあたり、新しい研究の
方向性を提唱します。それが、人生でよい方向へ向かうことについて科学的に研究する学問
「ポジティブ心理学」
です。
セリグマン博士は、従来の心理学だけでは人間の研究として十分ではないと考え、
「なぜ人は幸福でいられるのか、成果を出せるのか」
という研究を提唱しました。
ポジティブ心理学は今や心理学の世界の一大潮流として世界中で多くの研究者が活動しています。
マーティン・セリグマンは、娘との会話をきっかけとして、
人生でよい方向へ向かうことについて科学的に研究したい、という意識を持ちました。
セリグマンが庭の芝刈りをしていると、娘はそれを手伝いながらも歌を歌ったり、踊ったりして
ふざけていました。セリグマンはそれを見てイライラし始め、しまいには
「家に入っていなさい!」
と怒鳴ったのです。
娘は家に入りましたが、しばらくして戻ってきてこう言いました。
「パパ、私は3歳から4歳の時、毎日文句ばかり言ってたわ。だから5歳の誕生日に、文句を言うのを
これからは文句を言わないって決めたの。それは今までで一番大変だったわ。でも、私ができたんだ
から、パパだってイライラするのを止めることできるわよね?」
娘の言葉を聞いて、セリグマンはショックを受けました。
まだ5歳の小さな女の子が、自分を律して変えようとする確固たる意志を持っている、そして人をも
励まして変化を起こそうとできる。娘が既にそのような強みを持っているのに気づきました。
この出来事がセリグマンに、人はどのように強みを持つのか? どのようにそれを促進できるのか?
という疑問をもたせました。そして、これがポジティブ心理学となっていきました。
病気を治すのは大切なことです。弱みを矯正するのも時には必要でしょう。
そして、自分がどのような強みを持っているか、仕事でどのようにそれを活かせるか。それこそが、
幸福な仕事をする上での大切な視点のひとつなのです。
