RoHS指令は姿を変え世界に飛び火 | WORK-LINK

RoHS指令は姿を変え世界に飛び火

RoHS指令は姿を変え世界に飛び火

2006/12/01
伊藤 大貴(日経エレクトロニクス)

 ここ数年,環境規制に対する読者の関心はかつてないほど高まっています。ご存知の通り,2006年7月にRoHS指令 が施行されたからです。「規制を遵守」と言葉では簡単に聞こえますが,設計や開発,生産など現場の苦労は想像以上に大きいものでした。サプライ・チェーンの見直しに始まり,従来培ってきた実装技術を一から変更しなければならなかったためです。しかも実装技術の変更に伴い,予期しない様々なトラブルにも見舞われました。こうした多大な労力を払ってきたからこそ,読者の関心が高かったのでしょう。

 欧州でのRoHS指令は,これから始まる環境規制時代の始まりに過ぎません。欧州では今後,約3万種類の化学物質を規制する「REACH 」や環境に配慮した機器設計を求める「EuP指令 」など,次々と環境規制を打ち出しています。しかも欧州での規制は世界各地に飛び火しているのが現在の潮流となっています。欧州での規制とは少しずつ形を変えて飛び火するため,エレクトロニクス・メーカーにとって油断はできません。

 こうした状況の中,エレクトロニクス・メーカーの最大の関心事は2007年3月1日に施行を控える中国版RoHS指令 です(2006年12月4日号の日経エレクトロニクス参照 )。情報が多すぎて何が正しくて何が間違っているのかを判断しにくいのが目下の悩みと機器メーカーの技術者は口をそろえています。中国は中央政府での決定事項が地方政府に浸透するまでに時間を要します。そのため,地域によって耳にする情報が異なってしまうのです。

 加えて機器メーカーは「中国版RoHSが日本製品外しに使われるのではないか」という不安も抱えています。この1年間で異業種も含めて,いくつかの日本製品が不買運動の憂き目に遭っているためです。しかも,多くのケースではうやむやのまま事態の沈静化が図られました。こうした事情から機器メーカーが不安を覚えるようです。

 こうした不安を言い出せばキリがありません。どのようなリスクが想定されるのか,それが発生した際にどう対応するのかなど事前に考えられることについては,全て手を打っておくことが最大の防御となりそうです。もっとも,現地で中国政府と交渉をしている業界関係者は「地方政府などとのコミュニケーションをもっと密にすることが重要」と言っています。中国は日本以上に行政が強い国。最後は役所との緊密な連絡がモノを言うのかもしれません。