<互助会>知的障害者、入院時の支え 存続の危機 | WORK-LINK

<互助会>知的障害者、入院時の支え 存続の危機

生命保険に入れない知的障害者の入院時に備え、親などが出し合った資金から医療費を給付している「互助会」が存続の危機を迎えている。保険業法の改正で、金融庁が定める「ミニ保険会社」にしないと運営を認められなくなりそうだからだ。多くの知的障害者は病院内でじっとできず、個室ベッドや付添人の費用を援助してくれる互助会は貴重な存在。会側は「会社化すれば事務量や経費が増え、今のような運営はできない」として、法適用の除外を求める数万人以上の署名を近く同庁に提出する。【須山勉】
 全国知的障害者互助会連絡協議会によると、知的障害者の入院互助会は全国に39カ所あり会員数は約8万7000人。知的障害があると生命保険の加入を断られることが多いため、各地の育成会(親の会)や自閉症協会などが運営主体となり、年一万数千円の会費で入院した障害者に差額ベッド代や看護料を給付している。プールしている資金額は各互助会でバラつきがあるが、事務は運営団体の役員らがボランティアで行っている所がほとんどという。
 地域や職場の人たちが資金を出し合い、そこから医療費などを支出する営みは、法律の規制を受けない「無認可共済」とされてきた。しかし最近、一部の共済で資金が流用されるなどの悪質例が目立ち、国は保険業法を改正。互助会のような小規模の共済も、今年4月から1000万円以上の資本金や保険専門スタッフの関与などが必要なミニ保険会社(少額短期保険業者)が運営するよう義務づけられた。
 既存の共済は2年の移行期間が設けられているが、互助会側は「会員の負担をかなり増やさないと運営を続けられない。トラブルもなくやってきたのに、悪質共済と同列視されるなんて」と訴えている。
 金融庁保険企画室の話 人から集めた資金をプールし、事故の時に支払う行為は保険業であり、契約者を保護するために一定の健全性や財務基準を満たしてもらうというのが保険業法改正の趣旨だ。法理論上、互助会に法を適用しないわけにはいかないが、会をつぶそうという意図はなく、新制度に円滑に移行できるようお手伝いしたい。
 ◇会社化で負担増 家族ら「弱者切り捨てだ」
 「国がどうしても保険業法を適用するなら、保険に入れない知的障害者が安心して入院できる制度を作ってほしい。制度がないから、やむにやまれず互助会を運営してきたのに」。金融庁の方針に、埼玉県内の知的障害者の親らで作る「やまびこ互助会」(約5100会員)の福岡三治事務局長は怒りを隠さない。
 入院した知的障害者が点滴の針を引き抜いたり院内を歩き回るなどの行動を取ることは珍しくない。付き添いを24時間つけるなどの条件に同意しないと、入院を拒否されるケースもある。保険に入れず、入院が長引くほど負担が重くなる家族にとって、互助会は大きな支えだ。
 やまびこ互助会は93年に設立され、04年の給付実績は計250件、1816万円に上る。現在は約1億6000万円をプールし、給付額や会計内容は会報で公表。安定運営を続けているという。
 福岡事務局長は「障害者の経済的負担を重くする障害者自立支援法ができたばかりなのに、自衛手段としての互助会までつぶすのか。まさに弱者切り捨てだ」と訴える。
(毎日新聞) - 2月20日3時12分更新