【介護】介護療養型医療施設 将来的に廃止 費用の無駄削減
将来的に廃止 費用の無駄削減
厚生労働省は13日、介護保険サービスの一つ「介護療養型医療施設」を抜本改革する方向性を打ち出した。(社会保障部・安田武晴)
介護療養型医療施設は、介護とともに医療も必要な高齢者が利用する療養病床。同じく介護保険から報酬が支払われる特別養護老人ホーム、老人保健施設と並び、「介護3施設」と呼ばれる。
厚労省の方針は、全国に約14万床ある介護療養型医療施設を老健など在宅復帰を促す施設や、有料老人ホームなど生活の場としての居住型サービスへ、期限を定めて転換。将来的には廃止し、介護施設は2施設に集約するという思い切った内容だ。背景には、介護療養型医療施設が、必ずしも期待通りの役割を果たしておらず、費用対効果の点からも問題だという指摘がある。
介護療養型医療施設は、特養や老健と比べて医師や看護師の数が多く、その分、利用者1人あたりの月額費用も、重度の「要介護5」の場合、特養や老健より11万~13万円以上高い約48万円に上る。だが、利用者の実態調査では、医療の提供がほとんど必要ない人や、看護師の定時観察だけで済む人の割合が、それぞれ5割前後に上る。このため、来年4月の介護報酬改定について議論している社会保障審議会介護給付費分科会では、「月40万円以上の費用を使う価値があるのか疑問」など、厳しい意見が続出。今回の方針につながった。
また、医療保険から報酬が支払われる療養病床(約24万床)との違いがよくわからないという指摘もある。
医療の必要性を精査し、医療と介護の役割分担を明確化することは、介護・医療費の無駄を省くことにつながる。要介護5の人でも、有料老人ホームやケアハウスなら月額費用は25万円弱、在宅介護なら約20万円で済むからだ。また、集団的・管理的色彩の強い施設から、より家庭的な雰囲気の施設に移ることは、本人の生活の質の向上も期待できる。
今回の厚労省の方針は、医療の必要性が薄いのに入院・入所している高齢者をどうするかに一つの道筋をつけようとした点で、評価できる。だが、実際にどう進めていくかとなると課題は山積みだ。
報酬面から、施設を無理やり転換させても、中にいる利用者が安心して暮らせるようでなければ転換した意味がない。また、診療報酬改定や医療保険制度改革論議でも、療養病床の扱いが焦点になっているが、その方向性は今一つ、明確ではない。
厚労省は、来年1月にも介護療養型医療施設と、医療保険適用の療養病床を合わせた全体の将来像を公表する方針だ。利用者の立場を忘れずに、議論を尽くす必要がある。