「映画を見に行きたいなー」とWeb検索していたら、渋谷のBunkamuraで面白そうな映画を発見!
「皮膚を売った男」 チュニジアの映画ですが、シリアの内戦から逃げて難民の若い男女が主人公。
ヨーロッパが舞台なので、アラビア語の他に、英語・フランス語が飛び交う映画らしいです。
モニカ・ベルッチも出るのね。
Bunkamuraでは11月12日からロードショーになっていますが、
第33回東京国際映画祭で招待されていたので、映画好きの方はすでにご覧になっていらっしゃるかも。
(東京国際映画祭、久しくご無沙汰だなー)
映画「皮膚を売った男」は実話がもとの原作だそうで、
戦争・内戦が続く中東の悲惨な状態、
ヨーロッパに比べると厳しい社会文化、
若い恋人たちは逃げ出そうにも、Visaを取得するためのお金が必要。
そこにつけこむヨーロッパの美術関連の商人、アーティスト、関係者たち・・・。
あらすじでは、主人公の若者はお金を作り、恋人が金持ちの家へ嫁がせられないようにすること。
ヨーロッパへ移住するために、ヨーロッパのアーティストへ
自分の背中をキャンバスに見立て、刺青をすることで「アート」にする契約をする。
・・・という、あらすじを読んだとき、私はある作品を思い出したのですが、
今日のタイトル「ロアルド・ダール「皮膚」」ですよ。
えーと。
そっくりなんですが。。。だいぶ似ていると思うんだけどね。
ロアルド・ダールは多作・多彩な作家で、大好きだ。
「チャーリーとチョコレート工場」「マチルダは小さな大天才」それに、
かわいいギズモが出てくるスピルバーグが総指揮の「グレムリン」も彼の本。
こういうラインナップだと、児童作家として知られているかもしれないなぁ。
私個人はどれも好き。
児童向けだとしても、彼の皮肉は生きているし、
自分より強い者に負けないようには、どう生き残るかっていうことを
常に追い求めている内容な気がするので(私が好きな作品はね。)、
特に「児童本」だ「大人向け」だと区別はしていないね。
その彼の短編集の一つが「あなたに似た人」その中におさめられた
一編が「皮膚」です。
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パリの街を、おなかをすかせて歩くロシアから亡命した刺青師の老人が
とある画廊で、今は亡き画家の友人の作品を目にする。
場違いだとはわかっていたが、懐かしい友人の絵を目の前にして、画廊に飛び込んでいく。
案の定、つまみ出されそうになるが、自分も画家の絵を持っている。
そこで老人は叫ぶ。
「お前らに見せてやる!」と、着ているものを脱ぎ捨て、背中を見せる。
明らかに画家の絵だった。
老人の背中に、刺青として絵が彫られていたのだ。
なんと、刺青師は友人の画家に自分の背中を貸して
絵を描かせたあと、画家に彫らせたのだった。
画廊の主人が笑顔で老人に近寄ってくる。
「背中の絵を売ってほしい。
良い外科医がいるから背中からちょっと皮膚をはがすだけで
あなたには贅沢な暮らしをさせてあげられる。
あたたかい料理を食べながら今後の話をしましょう」と。
老人と画廊の主人は出て行った。
その後、オークションで「刺青の絵」が出された。
老人の行方はわかっていない。
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という内容なんだけれど。
芸術とお金と貧しい生活というキーワードが全く同じなんだよねぇ。
あぁ、でも、イギリス出身でアメリカで作家業をしていたロアルド・ダール。
今回の「皮膚を売った男」を制作した「フランス圏」ではあまり、知られていなかったりするのかなぁ。
どうなんだろう。この偶然。