毎週、Diseny+で「ワンダヴィジョン」の配信を心待ちにしている。

MarbelのAvengersシリーズのドラマだ。

 

本当は、ワンダヴィジョン全9話を見終わってからの感想をと思っていたが、先に「現実改変」というキーワードにつながる物語を読んだので、ちょっとだけ、先行して書いてみる事にした。

 

1960年代のSF名作(ヒューゴー賞も受賞している))

Philip K.Dick氏の「The Man In The High Castle」だ。

※日本語タイトルは「高い城の男」

歴史改変」しかも、第二次世界大戦の結果をだ。

 

amazon primeでシーズン4までの長編ドラマがある。

こちらを少し見た。

だけどなんというか、「良いのに、おもしろ味がない」。

 

いや、「おもしろ味がない」というのも正確ではない。

良作すぎて「正座」して見ないといけない、疲れるドラマ。

 

この感覚をお分かり頂けると嬉しいのだけれど、

カウチポテトの姿勢で見られないということなのだ。

だから、「おもしろ味」に欠けてしまう。

 

もちろん、映画「アイアンスカイ」を見るようなノリでは毛頭ない。

できれば、アニメの押井守監督一連作品のように、「緊張感があるオープニングが終わったら、ダレて見てもいいよ」というくらいの余裕ある雰囲気は欲しかった。

 

同じ「歴史改変」でも「アイアンスカイ」の「おもいっきりのフィクションとして、表現できるところまでやってみよう!」というのと、

ドラマ「The Man In The High Castle」の

「もし、我々の住む世界が本当は、WW2の勝者が異なる世界だったとしら? 

そして、私たちのような普通の人々が暮らしていたら?」という、究極の条件を突きつけられているフィクションの違いは大きいのだ。

ドラマなのだ。

肩凝りしない程度のマジメさで見せてもらいたかった。

 

とはいえ、日本文化などをこだわり抜いて作られたドラマなので、心が詰まるような感覚が無くなったらちゃんと見てみようと思う。

 

ともあれ原作である。

昨日、本屋で平積みにされていたので、買ったのだ。

ドラマと異なり、読みやすい。

翻訳者の朝倉久志にブラボーと御礼を。

 

「新訳」とあったので最近のミステリ新訳に多い「一体、なにを書いてあるのかわからない。。。」本になっているのではないかという、変な動悸は杞憂であった。

朝倉久志氏の翻訳がすばらしい。

今度は翻訳者ベースで購入してみたいと思っている。

 

Philip K. Dick氏の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」より、断然、好きになった。

 

邦題の「高い城の男」というのがちょっとだけ気にかかっている。

 

別物だが、川原泉氏のマンガで「殿様は空のお城に住んでいる」というタイトルの作品がある。

 

山本周五郎氏の描くような話の内容なので、SFとは縁もゆかりも無いが「The Man In The High Castle」も「高い城の男」ではなく、「男は高い城に住んでいる」でよかったのではなかろうかと。

まぁ、最初の翻訳からずっとこれで来たのだから、しょうも無い。

 

また「高い城の男」には「易経」という占いであり、哲学の学問に入る摩訶不思議な東洋思想が重要な鍵としてふんだんに盛り込まれている。

 

「易経」とは四書五経のひとつ。

古代中国で発明され、時代を経て日本にもやってきたものだ。

 

古くは卑弥呼、高野山の空海、陰陽道の安倍晴明etc.の時の権力者に影響を及ぼす者たちが使ってきた。

ただの「占い」ではなく、秘術であり、技術。

新テクノロジーでもあった。

 

占い師たちは、予言を行う。

だが、彼らは言う。「予言を信じるな。」

 

そう、あくまで予報なのだ。

当たるときもあれば当たらないときもある。

 

「未来」は変えられる「運命」必ず起こりうる「宿命」があるので、見えた(聴こえた)ヴィジョンを予言として書き起こすが、「将来」とするな。

 

では、占いなど要らないではないか?

 

なぜ、その占いが「易経」として学問の頂点として、過去、設定されていたのか?

 

その答は、「The Man In The High Castle」の結末と同じ、「真理」を語るからだと思う。

 

うーん。野暮だと言われるだろうが、作者には「この先」も書いてもらいたかった。

「歴史改変」から「史実戻換」へ。

 

高い城へ住む男と出会えたヒロインもそうだが、現実を知ってしまった日本人も、とても気になるのだ。

 

 

 

さて、「現実改変」のワンダヴィジョンである。

これから、中盤にさしかかる。

なのでここでは、彼女の能力である「現実改変」というものについて、すこしだけ。

 

父親がマグニートであり、強い能力を持っていとしても彼女も人間だ。「全能」ではないのだ。

 

「(ハルクが)5つのストーンをつかった指パッチンで、

5年前に消えた人々を蘇らせた

だのに、私の能力を使って、ヴィジョンを蘇らせて

何がいけないというの?」

 

物語はまだ終わっていないので、内容については今は、中途のため、留めておこう。

 

このドラマの救いはね。

優しいウー捜査官と

科学者だけど誰よりも人間らしいダーシー、

正義感と責任感に満ちあふれていそうなランボー捜査官が

今回のワンダの事件の担当になってくれている事かな。

 

ふむ。次の金曜日もたのしみだ。