『黒人の欲望の話』 | 新・旅亀の世界一周冒険活劇

新・旅亀の世界一周冒険活劇

旅亀の冒険・最終章。流れる雲のようにフワフワと。明日の行き先は明日決める。そんな旅をしよう。

辺りは完全に闇に包まれていた。

宿の警備員も、門の前の看守室で眠っている。

僕は警備員を無理矢理たたき起こし、門の外へ出た。

外は案の定、人っ子一人歩いちゃいない。

時折聞こえる犬の遠吠えがやけに、恐怖をあおる。

なぜこんな時間に起きたかって?

午前4時発の、マラウィ行きのバスに乗り込む為だ。







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以前、アフリカに住む黒人の多くは、
目先の事しか考えていないという風な事を書いた。

要するに、欲に純粋に生きていると。

そしてその大いなる欲に、
旅行者が触れえる簡単な例として、
僕はバスを挙げた。

席が埋まるのをただひたすら3時間も待つなんて、
目先の欲に喰らいついてるって事だろう?

しかも、目的地まで3時間もかからない距離で。

移動時間と同じ待ち時間って、馬鹿げてるだろう?

だけど、まさかミニバスの域を超えてまで、
大型バスで、その欲が発生するとは思いもしなかった。

今度の場合、時間通りに出発すると思っていたんだ。

だからこそ、僕はそのバスに乗り遅れない為に、
わざわざ出発の1時間前に起床し、
危険かもしれないという理由で宿の前に待機していたタクシーに乗車し、
30分前にバスに乗り込んだのだ。

4時発のバスに、ご丁寧に3時半に乗り込んだんだ。




























ねえ黒人さん。

今、何時か知ってる?

ねえ黒人さん。

このバス、4時出発ですよね?


















僕は徐にデジタルカメラのスイッチを入れ、時間を確認した。

午前9時。

黒人よ。
一体どれだけ待たせるのだ。




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