『マダガスカルの悲劇⑨』 | 新・旅亀の世界一周冒険活劇

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旅亀の冒険・最終章。流れる雲のようにフワフワと。明日の行き先は明日決める。そんな旅をしよう。

未知の恐怖と戦い続けて―。

・・・気がついたときには、夜が明けていた。

体力的に限界に達し、いつの間にか眠りについたのだ。

デジカメの時計を見ると、時刻は朝6時となっていた。

寝ぼけた頭で計算すると、どうやら1時間程しか寝ていないという事が判明した。

僕は朝の5時まで、原因不明の眠りへの恐怖と戦っていたのだ。

だが、どういう事だろう。

睡眠時に2度に渡って襲ってきた悪魔は、
その1時間の眠りでは現れなかったのだ。

・・・という事は、
夜のアレは僕の体の異常ではなく、
やはり精神的な何かで、
気持ちの問題だったのだろうか・・・。

いや、きっとそうに違いない。

だからそこまで気にする程の事じゃないだ。

僕はそう思う事によって、気持ちの面で楽になろうとした。

実際、朝5時まであった張り詰めたモノが薄れていくのがわかった。

だが、恐れは完全に消えたわけではない。

今夜また襲ってくるかもしれないという恐怖は、
ほんの少しだけ残っていた。

そして『耳鳴り』の問題もある。

こいつだけは今朝もまだ鳴ったままだ。

相変わらず超音波のような音を出している。

その音は本当に小さく、
ちょっとした音があれば、
聞こえなくなる程だ。

だから町に繰り出すと、
周囲の雑音で音が消えるので、
治ったと錯覚する。

実際には微量に、音を発し続けているにも関わらず・・・。








しかし、病気が治ったと思った矢先、
新たな問題が我が身に降りかかってくるとは。

とことん、マダガスカルは僕にとってバッドカントリーだと思った。











さて。

今日はレミューズパークへ向かうという目的があるのだ。

折角マダガスカルに来たのだから、どれだけしんどくても、
ワオキツネザルやシファカと触れ合いたいという思いが僕にはあった。

レミューズパークだと、
放し飼いにしてあるキツネザル達と触れ合えるという事らしい。

僕は宿の管理人に、レミューズパークへのミニバスが出ている場所を確認すると、
『歩き方』を片手に町へ繰り出した・・・










・・・と、ここから先は、前々回の話を見て頂いた方ならご存知だと思われる。

間違ったミニバスに乗り込んでしまい、
思い描いていた事が出来ずに悲観的になり、
マダガスカルに絶望し、
僕は半べそで宿への道を歩いた。

ここまでが、前々回に書いた話だ。

あの後僕は自分の部屋に戻り、朝まで過ごす事になる。

そして・・・








『耳鳴り』
の恐怖に怯えた。


つづく。


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