即席ラーメン黎明期から売られている日清チキンラーメン、エースコックワンタンメン、関西では見かけるイトメンのチャンポン麺等のスープの味は他に類を見ない独特のものですが、
一方、サンヨー食品のサッポロ一番に代表されるオーソドックスな味で勝負するブランドがあります。
オーソドックスとは言っても、即席ラーメンだけの基準ではなく、世間のラーメン店一般の流行の影響を受けています。
おおよそのメーカーの基本は醤油味で、北海道札幌発祥の味噌ラーメン、塩ラーメンのバリエーションが生まれました。
その後、博多発祥の豚骨ラーメンが日本中に広まるにつれメーカーが後追いしました。
あくまで「全国的に」という意味であって、その発祥地域ではマルタイの棒ラーメンのように地方色豊かな即席ラーメンが存在していました。
豚骨ラーメンが全国に広がると今度は、独特の匂いを抑えた「しょうゆとんこつラーメン」が派生し即席ラーメンも当然フォローしました。
印象に過ぎないのですが、「醤油豚骨」と書くのは外食としてのラーメン、「しょうゆとんこつ」と書くのは即席ラーメンに多く見られるように思われます。たぶん味は同じでも主なターゲットを男性女性と分けているのかもしれません。
それから担担麺に代表される辛いめのラーメン、酸味の台湾ラーメンと来て、現在の流行は鶏白湯ラーメンでしょうか?
だとすると、初期の一部を除き、即席ラーメンは外食店のコピー商品でしかないのか?
それならば、新しい味を開発した元祖のラーメン店主以外のラーメン店もメーカー同様にコピーをしていると言えてしまいます。
ただ実際、コピーしつつも自分らしさを表現しないと客を呼べない業種ですので、店主の数だけ新しい味の模索があり、その数だけ個性が生まれています。
もちろん即席麺メーカーも同じ。
ただしメーカーは個性と同時に「万人にうけなければならない」という相反するかもしれないさらに高いハードルが課せられているのです。
個人店のように客を選ぶ訳にはいきません。地域限定商品でない限り全国のスーパーで買えなければならないから。
ここでひとつ言いたいことを。
勘違いされている方がいるのかいないのかわかりませんが、
ラーメン好きな方に有名ラーメン店店主をカリスマ化して、その職人気質を崇める風潮があるような。
またオーガニック志向の方には即席ラーメンを人工物の権化と敵視している面も。。実際に子供に即席ラーメンを食べさせたことがないと自慢気に話されるお母さんに2人ほど会ったことがあります。
…それだけ食べて健康を維持できる食品なんて存在しないのだけど。と皮肉りたくもなります。
その二つの風潮が、即席ラーメンメーカーの開発研究者の能力が正当に評価されていない、というより存在すら認識されていない。
珈琲のテイスター、酒やワイン、ウイスキーの醸造元の責任者の舌くらいには評価されるべきだと僕は考えます。
研究者の才能と熱意が有名店主に勝ることがあっても劣るなんてありえない。
化学と味覚の双方向から開発する力を備えているのだから。
大工出身で職人を多く見てきた僕自身の経験から言えば、職人の努力と自負する研鑽は、学生時代に使わなかった脳みそを働き出して急に酷使して、ものすごく勉強したと勘違いしていることが多いのです。
それくらいの脳みその絞り方なんて研究者は学生時代から余裕でこなしています。
確かに天才としかいえない職人は存在しますが、本当にごく稀。
どういう頭の構造なのか理解しえない発想と、それを支える精密な観察力、頭に浮かんだものを実際に表現できる繊細な感覚の持ち主は実在しますが。
誰もがなれるわけがないのに、極々一部のカリスマに自分も肩を並べていると勘違いした職人の多いこと!
開発といえば、麺のイノヴェーション‼!
揚げ麺からノンフライ麵に変わっただけではなく、年々食感がより生麵に近づいています。
でもしかし、サンヨー食品のサッポロ一番鶏白湯は揚げ麺のままなのに感動的な仕上がりを見せています。 まさに絶妙なバランス感覚の持ち主にしか表現しえない領域の味。※個人の感想です。
この味を昔ながらの乾燥麺で作り上げた開発者は、カリスマラーメン店主くらいには讃えられて欲しい、讃えられるべき。