隣国との微妙な距離 | 愛しき日々

愛しき日々

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 日本の隣国といえば、海の向こうのロシア、北朝鮮、韓国、中国、台湾となる。友好な関係の国もあれば国交のない国もある。陸続きで仲が悪いのは相当キツイのだが、海を隔てているわけだし、仲がいいのには越したことはないけど、まあ仕方がないね、といったところか。

 

 

 図書館で新刊の「中国史とつなげて学ぶ日本全史」(岡本隆司著 東洋経済新聞社刊)が目に入ったので借りた。日本史が世界史と切り離された歴史では決してなく、東アジアで大きな存在感を持つ中国との関係から日本史を捉えようと試みる。中国と日本は歴史を概観しても大きく違う。農耕と遊牧という2元世界での王朝交代の中国、天皇制を継承しつつも武家による幕府で政治をとった二重体制の日本、あるいは中国を範とした関係を続けた朝鮮半島とそれぞれの歴史を持つ東アジアは経済的にもつながりつつ離れつつ、社会的な構造は別々のものになった。

 また本書では日本という国や社会の原型がどのようにして出来たかにも焦点を当てており、興味深い。日本的なもの、特に文化においては室町時代の京都がルーツになっていること、都市の発展は戦国~江戸にかけての沖積平野における開発によるところが大きく、全国的に農村だけだった社会が都市と農村という現代につながる日本の風景になったこと、日本という国の意識や日本人という意識が元々あったわけではなく、いかに成立していったかなど興味深い。

 現在のしっくり来ない各国の関係は大東亜戦争の時代より前からの東アジアの歴史に端を発しているのかもしれない。それでも絶縁するのではなく、政治的にも経済的にもなんらかの信頼や結びつきがあるこれからの東アジアであってほしい。