文明の発展が進み、満たされる人間が最も多く存在した時代。

やりたいことを職業にしていくらでも生計を立てることが出来、国民全員に衣食住を保証される。また全員が満たされている故に差別も争いも殆ど発生しない。かつて人類が抱いた夢は達成された。


歴史が好きな少年がいた。人類が誕生してから現在の状態になるまで様々な困難を経て現在に至った経緯を隅々まで眺めることが日課だ。しかし、現在こそが完全である、完璧であるという風潮に次第に疑問を抱いていく。想像出来ること全てを実現した人の文明はもはや進化することはありえないのか?今より先の未来は全て同じなのか?


そんな少年のもとに変人と噂されている青年が現れる。青年は、神様になるのが夢だと言う。ただ彼が言う神様とは、全知全能でもなければ、キリストや仏のように人々に救いを与える存在ではないらしい。ひたすらに先を見つめる存在。いつか人が滅んだ後の遥か先の世界を、移り変わる時代を見てみたいという。それを実現するためにずっと一人でそのための装置を作っていた。「止まった世界」を生きる少年たちの話。

彼女のどこが好きなの、と聞かれても答えられるわけがない。別に容姿が気に入ったわけでも、性格が気に入ったわけでもない。図書館で他愛もない話をして、ふと彼女がとてもかわいいと思った、ただそれだけである。でも恋愛に興味を持ってしまった僕は後先考えずにそのままの勢いで告白して、振られてしまった。

「私ね、生まれつき恋愛感情がよくわからないんだ。性欲とか、性器とか、そういうの気持ち悪いだけでさ。恋愛話も聞くといらいらする。だからごめんね」


FtXの坂本さんと奥手な高校生の八代君の話。

大学生の「彼」はある日、夢で幼い少年の意識に乗り移る。断片的に訪れる光景は、少年が何不自由のない生活を送っていることを表していた。真新しい住居と自分の部屋。優しくて美人な母親。学校でつるむ悪友。そして、幼いころに母と離婚して自分の元を去って行ったはずの父。少年の正体は、父が再婚した相手の間で出来た子供だった。

夢の光景が現実であることに気付いた「彼」は、自身が幼い頃の記憶にはなかった優しい父の姿を垣間見て次第に苦悩していく。一方で夢のスパンは少しずつ増えていく。このままでは自分は完全に少年を乗っ取ってしまうのではないか。また元々の自分は眠ったままになるのではないか。そんな恐れを抱いた「彼」は少年とコンタクトを取ることにするが…