佐賀県警の強盗事件の捜査に協力したのに逮捕され、実名発表で名誉を傷つけられたとして、佐賀市の中古車販売業、原一弘さん(39)が佐賀県に330万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は、捜査協力依頼の違法性を認めて33万円の支払いを命じた一審・佐賀地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却した。

 原告側も請求額を110万円に変更して控訴していたが、同様に棄却した。

 一審判決によると、原さんは2007年7月、知人の男から民家を襲う強盗計画を聞き、運転手役を頼まれた。男の指示で目出し帽を買ったが、佐賀署に出向いて計画を告白した。

 県警は原さんに計画通り行動するよう指示。原さんが仲間と民家に着いたところで任意同行を求め、仲間とともに強盗予備容疑で逮捕し、実名で報道発表した。原さんは20日間の勾留後、不起訴(起訴猶予)となった。

 一審は、県警が求めた捜査協力は犯罪をつくる面があり、限度を超えた違法なものだったと認定。原さんの行為を犯罪として実名発表したことも違法だったとして、精神的苦痛に対する慰謝料などの支払いを命じた。

裁判員経験者と法曹関係者の意見交換会が27日、横浜地裁であり、昨年11月に裁判員裁判で初めての死刑判決にかかわった50代の男性が「忘れてはいけないのだろうが、思い出したくはない。今は楽しいことをするようにしている」と心境を語った。

 裁判終了後の精神的ケアについて問われ「精神的なもの(負担)はとても大きいが、自分自身で抑え込むことのできるもの。後ろめたいとも感じていません」と答えた。

 判決文を書く過程について「判決には評議でずっと話し合ったこと、各裁判員の意見をすべて採り入れていただいた。みんなで読み合わせて確認もした」と説明した。判決言い渡しの瞬間については「現実でないような、夢を見ているような感じだった。それでも刑はどうするかみんなで考えたので、よい経験だった」と振り返った。

 今後裁判員になる人へのメッセージとして「人を見るのではなく罪に対して考えないと自分が押しつぶされる」と述べた。男性は判決当日にもただ1人、記者会見に応じていた。(太田泉生)

夫婦が同じ姓を名乗ることを定めた民法の規定は、個人の尊重や男女平等を定めた憲法に違反しているなどとして、事実婚の夫婦ら5人が国を相手取り、総額約500万円の慰謝料を求める訴訟を東京地裁に起こすことがわかった。6日、原告側弁護士が明らかにした。

 弁護士によると、原告は東京に住む事実婚の夫婦と、東京、富山、京都の30~70代女性の計5人。民法の規定を国会が改正しないことで精神的苦痛を受けたとして、1人100万円の慰謝料を求める。

 また、事実婚の夫婦は、国などに婚姻届の不受理処分の取り消しも求める方向だ。婚姻届は一方の姓を選んで提出するが、夫婦は両方の姓を選んだため受理されなかった。

 原告の一人の元高校教諭塚本協子さん(75)は「一人娘なので姓は変えたくなかった。政権交代で民法改正を期待していたが、解決できないので司法に訴える」と話す。