6月上旬、私は兄と両親に温泉宿へ連れて行かれた。しかし宿ではひたすら私の見合いへの説得が行われた。恐らくそれが目的だったようである。兄は抵抗する私に手を上げようとしたが私が睨むとひるんだ。どこまで愚かな家族なんだろうと私は心底呆れたし、この出来事で心が限界を迎えてライブ4日前、また自殺の準備に取り掛かった。

 

首を吊るのに体から水分を抜かなければいけないのだが、その疲労感からひと眠りするとまた夢を見た。

 

その部屋の隅には茶室の入り口のようなサイズ感の四角い暗い穴が開いていた。そこから目を離すと正面にA氏がニコニコして立っていた。彼はその壁の穴を扉をしめるように塞ぐと明るくこう言った「まだ死ぬな」 そして私の額に“おでこコツン”をする。目をつむると額を通して光が体に流れ込んできた。「ライブには来なさい」

 

目を覚ますと泣いていた。

 

…絶対行きたくない。君の居ないライブなんて嫌だ。なのになんで来いなんて言うの。そんなの行くしかないじゃん…

 

でも1人で行くのは心理的に不可能だった。そこで私はバーのオーナーでA氏とご親友のRさんにメールをした「今度の最後のライブ、一緒に行きませんか」 するとすぐ返信があり、当日会場で待ち合わせをすることになった。

 

私は自殺計画を取りやめてライブの準備を始めた。気に入っていたバンドTシャツを洗濯して干した。その間もずっと泣きべそをかいていた。