2014年甲辰迎春 震為雷 | 林泉居

林泉居

ブログの説明を入力します。

2014年甲辰迎春 震為雷

 

謹賀新年.。

雲龍

あけましておめでとうございます。

 

本年が皆様にとって良い年となりますようお祈り申し上げます。

 

本年は甲辰年ですが、どのような年になるのか誰しも気になるところではないかと思います。本年を占ってみようと思った途端、早速能登半島地震というショッキングな出来事に見舞われてしまいました。
易においては辰年は、よく震為雷という卦が当てられます。恐らくは、 辰と震とが音が同じであるために掛け合わされたものと思いますが、易では震となぞらえ震為雷として語られることが多いのです。そこで序卦傳には、
器を主る者は長子に若くは莫し、故に之を受くるに震
を以てす。震とは動くなり。という言葉が掛けられています。震とは動くなりで変動が多いという事です。確かに歴史を振り返ってみても政変があり、紛争もよく起こっています。1868年明治元年、この年は戊辰でした。明治維新により政権の移ったばかりの年でした。権力の移譲が速やかに進まず、不平を募らせた旧幕府軍との間で紛争が勃発し血が流された年でした。本年から更に干支を二回り遡ること120年前の明治37年2月10日には、ロシアに宣戦布告し、日露戦争の勃発した年でもあったのです。かように辰年は、易の教え通り大きく社会が動く年でもありました。私の座右の書公田連太郎著「易経講和には」次のような解説が付けられています。  即ち震の卦は上に二本の陰交があり、下に一本の陽交があるが、下になる一本の陽交が盛んなる勢を以て活動して、上になる二本の陰交を突き破つて 進まうとするのである。これを天地間の現象に配営して雷とするのである。秋から冬にかけて陰氣が積もり累なつて居る。この盛んなる陰氣の下に、 一陽来復の冬至の時に、微少なる陽一が萌し、それが春になつてだんだんに勢力を増し、それが雷となつて、ついに陰気を突き破って進み動くのであり、盛んなる勢を以て轟き渡るのである。これまで鬱屈してちぢかまって居た陽氣が、積もり累なつて居る陰氣を突き破って套動するのである。此卦はこの雷が二っ重なつて居るのであつて、ますます盛んなる勢を以て登動するのである。

 

これを例えるなら鳥の卵からヒナが孵るのと同様に、親鳥が温める熱によって卵の内部では細胞分裂を繰り返し、やがて肉体が形作られそれがやがて限界に達するまで成長すると卵は窮屈となり遂には殻を突き破り下界と交わる誕生の日が訪れるのです。地震のメカニズムも似たような理かも知れません。この震為雷乃震は地震現象を見て掛けられた言葉ではなかろうかと思ったりします。雷の電気エネルギーは 雲の摩擦によっての地表に降り注ぐ降り注ぐもののみならず、大地の揺らぎによっても引き起こされます。このことを自然現象から離れて人間社会のありようについても当てはめて考えてみるならばやはり同じような理があるのではないでしょうか。


易では、基本的に天地の物事を象(しょう)と形(ぎょう)とに分けて捉え考察します。象とは形にして上のものであり形而上のものであり、メタフィジックです。目に見えないエネルギーや現象などを意味するのです。形とは形而下のもの即ちフィジックです。物理でもあります。形は常に象の働きを受けて変化するという捉え方なのです。例えば熱の変化によって液体の水が固体の氷になったり、或は逆に気体になったりするような現象を例にとってみればわかりやすいのではないかと思います。これを演繹して考えてみれば物理の世界のみならず大地の現象もまた人間界における社会の変化の法則性にも適用できると考えたのです。そこで長い歴史の内に変化の状態を考察し、変化に対する知の体系をまとめたものが易なのです。さてそれでは、本年の卦「震為雷」とはどのようなものでしょうか。冒頭に述べましたように震とは動くなりです。
   震とは振動であり波動でもあります。そこにはエネルギーが存在し振動しているのです。それ故に天地の間に存在する全てのものに影響を与えているのです。震とは、また周期でもあります。地球の自転公転に周期があるように一定の時間とともに元の位置に戻り似たような状況を繰り返すことです。一年に春夏秋冬を繰り返しながら万物は生成化育し生まれては消滅し更に同じことを繰り返します。歴史は繰り返すと言われるように人の社会にも周期があるのだろうと思います。それが干支において象徴的に語られることの一つの理由ではないかと思います。