樹上のバッハ
日の出直後、午前5時少し前、ロフトのシュラフの中で森の奥遠くから聞こえてくる一頭のヒグラシの鳴き声を聞きました。
少し過ぎて、小舎のすぐ近くのヤマザクラの樹上から、遠くから聞こえてくるヒグラシの声に呼応するように別の一頭のヒグラシが鳴き始めます。
間髪おかず又別のヒグラシがそれに合わせるように鳴きだします。
やがてヒグラシ達の森の大聖堂での大合唱が始まるのです。
そして、一足遅く鳴きだすカッコーの指揮でピタリと樹上の演奏の朝の部に終わりを告げるのです。
さて、早朝のヒグラシの合唱を聞くと、いつも思い出すのは対位法の手法で作曲された代表的なバッハの「小フーガト短調」です。
ヒグラシ達はこの対位法の作曲手法をどうやら知っているらしいのです?(^_^)v。
森の奥、遠くから先ず聞こえてくるのが主旋律・・・、それに呼応するように近くで鳴くヒグラシが対旋律・・・・。
その後、主旋律担当と対旋律担当のヒグラシが逆転して、対位して、森の大聖堂での合唱となってゆくのです。
ピアノやパイプオルガンの楽曲の多くは、右手が主旋律、左手が伴奏というように、右手と左手の役割が決まっています。
でもバッハの「小フーガト単調」 を聞くと、右手にあたる森の奥で鳴くヒグラシも、左手にあたる近くのヤマザクラの樹上で鳴くヒグラシも対位して主旋律を交代しながらメロディーを奏でているように思えるのです。
休暇小舎のヒグラシ達、とても美しい対位法の手法を知っていたんだなぁと思いましたo(^-^)o。