この記事の続きです。
ヨークに滞在中は、街中を流れる川辺のホテルに滞在していた。
日中は、仕事がらみのセミナーだったので、あちこちに行くような観光はしていない。
ただ、7月初めの一年中で最も日の長い時期である。
夜も9時近くまで明るいので、用事が終わってからでも、街を散策するには十分な時間がある。
石畳の道を、あちこち歩いた。
昔は肉屋が並んでいたというブッチャー通りは、少し狭い道で、とても古くからある通りだそうだ。
今もお肉屋さんがあるのかと思って探したが、それらしい店はなかった。
夕方(夜?)だったせいか、閉まっている店も多く、もしかしたらその中にあったのだろうか?
人通りもそんなに多くなく、少し薄暗い狭い通路は、もしかして屠殺ぽい雰囲気も漂うかと少し不安だったが、店頭の花に水やりしているお店のおじちゃんなどもいて、そんな気配は微塵もなかった。
丸い広場の周囲にベンチが置かれていて、街灯にはきれいなお花の咲くハンギングバスケットが掛けられていた。
日が暮れて行く中、広場のベンチに座っていると、白布を身体に纏った人が走っていく。
なんだか扮装した人も、そういえば見かけた。
その前を、何人かの人がキャーキャー言いながら走る。
何をしているんだろう?と思って眺めていたら、隣のベンチに座っていたご婦人が、ゴーストハントだと教えてくれた。
街中で肝試し? それともお化け屋敷のアウトドア版?
先日発見した資料ファイルの中に、リーフレットがあった。ホテルかℹ️で入手したのかな?
古い歴史のある街だし、おそらく戦いの場でもあっただろう。
幽霊が出ても、少しも不思議はない。
私は霊感が強いというほどではないが、ほんの少しだけ、ソレっぽいものを感じる時がある。
そして、全く怖くない。
感じたことが一番多いのは、私自身の祖父だった。
何かが見えたり聞こえたりは全くない。
あ、おじいちゃん、いるな。
唐突に、そこに祖父が一緒にいるように思う時が、何度かあった。
気のせいかもしれない。
背後に人が立つと、なんとなく人がいるのを感じるような、ただそんな気配だ。
おじいちゃんは、私のことをそんなに思っていてくれたの?
と、亡くなってから知ったように感じる。
だったらもっと、何かしてあげられたら良かった。
とも思うが、時々こうして思い出すのが一番かなと考えている。
旅が好きで、リュックを背負ってあちこちに出掛けていた祖父の血を、私は確かに引いている。
祖父が亡くなって40年くらい経ち、そんな気配を感じることが少なくなってきた。
どこかで誰かに生まれ変わったのかもしれない。
イギリスの古いお城で、わからないけれど、なんとなくそんな気配を感じる時は、そうか、まだ転生できないんだなぁと思う。
ヨシヨシ、大丈夫だよ。安心して眠ってね。
と、心の中で祈る。
たぶんヨークの街には、そんな魂がたくさんいるはずだ。
そんな魂たちが、あの街を守ってくれているんだろう。
この旅はもう20年以上前のことなのに、書き始めたら、どんどんいろんなことを思い出して来た。
最近のことはすぐに忘れるのに、昔のことは憶えている。怖いわぁ、、、
でもこの機会に、書き残しておこうと思います。
まだ少し続きますが、よろしければお付き合いください。
続きは、