さて“信じる”って言葉があります。
神様や恋人と痴話喧嘩したりするときに使う、価値が乱高下するアレです。
おもしろい言葉だなあってずっと思ってました。
価値が乱高下するといえば株価も円もドルもユーロもおもしろい存在です。
でも今回ほんとに言いたいのは映画『月曜日のユカ』の 加賀まりこがいかに美しかったかということです。
話はお金の存在に戻りますが、お金は不思議です。 あのコインや札それ自体はこども銀行のものでもそのへんの 河原に落ちてる石でも変わりになりそうなくらい価値はないのに あらゆるものと交換できるそうです。ほんとでしょうか?
ところで2歳くらいの子どもにお金をわたすとおもしろいことに1万円 や5千円札には見向きもしません。じゃらじゃら音のする、 ピカッと光る50円玉や100円玉に興味津々です。 子どもはお金の価値を信じていません。 というより、お金はこれくらいのなにかと交換できる、って約束事を 信じてるひとたちの間でしか価値はありません。
この前銀行でお金を借りてみました。なにしろなんの財産も持ってない 無職なので貸してくれた金額と交換したのはなんなのか気になります。 もちろん借金なので返すのですがそれにしても未来なんてよく見えない ものに投資する銀行の考えがわかりません。断崖絶壁の暗闇で向こう岸に ジャンプするようなもんじゃん。だから不況なんだよ!
ってのはもちろん冗談で、 交換したのは時間とボク自身+利子ってやつでしょうか? するとボクは世界最古の商売といわれる売春と同じことをしたことになります。時間、ボク自身とお金の交換。ってことは働いてお金をかせぐことは 意味としては売春とおなじってことですか?マルクスさんゴダールさん。
で、加賀まりこ。いや長かった・・。
この映画の加賀まりこは最初のアップテンポにアレンジされた「聖者の行進」に のっての登場シーンから最後まで1ミリのむだなくコケティッシュにかわいいです。
(最近はコケティッシュ、かわいい、どっちの言葉も株価がさがってるようですが)
さて、若くてかわいいユカ(加賀まりこ)は男性に喜んでもらうためなら なんでもする女の子です。
やらしいことだってします。 売春ではないのでお金はとりません。
男の理想の(都合のいい)女の子。ほんとうに?
でもキスだけはしません。お金もちのパパの愛人です。
お金と交換で愛人契約ってことでしょうか?
普通と逆ですが、 このパパのことは好きだからお金と交換もOKらしいです。
もうひとり、中尾彬(ん?こんな字だっけ)ふんする若い男のこの 恋人?もいます。
こちらとはなにも交換してないみたいです。 お金に価値があるって知らない子ども同士のようにじゃれあって 横浜元町を歩きます。ほかにも希望者がいれば誰とでも寝ます。 なにしろ男を喜ばすのが彼女のいちばんの価値なので。 そして男ほどきれいな若いおんなとアレさえできればなんでも 交換しちゃうマヌケな生き物もいないので。
ところがこのあと不思議なことがおこります。 ユカはあらゆる交換に失敗し続けます。 まず5人の男を引き連れて無人の教会に入り、さあだれからにする? っていいながら服を脱ぎます。でも男たちはなんだか無言で立ち尽くして なにもしないで去っていきます。なにが起こってるのでしょう?
次にパパ(愛人)が日曜日に家族をつれておもちゃやにはいり、 妻と娘に満面の笑みで人形を買ってやったのを目撃したユカは 自分もパパを喜ばしたいから今度人形を買いにいっしょに行こうとパパを 誘います。パパがおもしろいことをいいます。 その人形代はパパが払うのにユカはそれがパパがいちばん喜ぶことだからいこうっていうのかい?と。
パパの価値観はお金がわりと上のほうにあるみたいです。
ユカはお金よりもパパの喜ぶ顔のほうが価値がうえです。
そして愛人と家族では同じ人形を買ってもパパの価値観は同じじゃない、
ってわけでこの交換も失敗します。
ユカはなにを信じてるのでしょう?もしかしてバカなんでしょうか? いや彼女は確信犯です。
自分の価値観、男を喜ばす、とキスはしない、 のふたつの為に暗闇でジャンプして何かと交換しようとしつづけます。
パパは商売に困ってアメリカ人の船長との商談でユカと寝たい、と言われればYESと答えます。
商談という交換条件の場ですからパパは自分の価値観に忠実です。
でもユカにそれを伝えるシーンは懇願てかんじです。もっと堂々としてればいいのに。
ユカも迷います。なにしろそれが自分からではなく、愛するパパからのお願いの形だったから?
でもパパが喜ぶならと承諾しますが、10万円ちょうだいとも言います。
交換のバランスをとるためでしょうか?
そしてこの話を聞いていた中尾彬は怒りのあまりユカを殴り、外に飛び出し あっけなく死んでしまいます。ユカは自分のいちばん大切なもの、 キスを死体になった中尾彬にします。この交換も失敗です。相手は死者ですから。
最後にあの船長とのベッドインでユカはむりやりキスを奪われます。 めちゃくちゃにされた価値観のため、ユカはむかえにきたパパと 港で踊り、パパは当然のように足を滑らせて海に落ちて死にます。
ユカは無表情で沈んでいくパパをみて、去っていきます。 交換が失敗というか凌辱されたのだから、
パパが死ぬことでチャラに なることがわかっていたかのように。
というわけで、 お金はなにかと交換できるって約束事を信じていないユカは、
人間というより 神様とかマリアさまとかに近い美しさなのでした。おしまい。
おまけ。 売春婦が汚辱にまみれた環境のなかで聖母のように輝くって物語が 小説家がよく持ち出すレトリックですがこの映画はもっとひねってあります。よくみたら脚本が倉本聰でした。
もひとつおまけ。 信じる、信じないでいうと 簡単にひとのいうこと信じちゃいけません。
(もちろんボクのいうことも) なにしろ格言にはドント トラスト オーヴァーサーティー 30代以上は信じるな!ってのがあるくらいですから。
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