『ロリータ』  ウラジミール・ナボコフ | 【WONNDER3】 Time&Space Travelers

【WONNDER3】 Time&Space Travelers

【WONNDER3】Time&Space Travelers のブログ
http://wonnder3.co.jp

『ロリータ』の若島正訳を読みました。


昔読んだ旧訳のほうは最後まで読めずにいたので、今回読みきれてうれしいです。

ナボコフはこれを書いたときアメリカに住んでいたのですが、 生まれ育ちはロシアの貴族階級で、亡命ロシア人です。 この『ロリータ』は最初パリで出版されましたし、出版後はスイスに永住しました。 いったい何ヶ国語話せて書ける人なんでしょう。


映画をみたり、そのポスターをみていたとき、ロリータのあのピンク?の サングラスが俗悪で、なんでだろ?と思っていたのですが読んでみてわかりました。


『ナボコフ自伝』を読んでるとこの著者の天才ぶりがよくわかります。 ボルヘス、マルケス、カルヴィーノ、に連なる20世紀の大作家といわれる ナボコフですがなんで40歳くらいの中年おやじ、ハンバート・ハンバートが 12歳のロリータに惚れるしょうもない?話を書いたのかずっと不思議でした。


ハンバートはヨーロッパ生まれのきちんとした教育を受けたハンサムな紳士として 描かれるのですが、(というか作中自分で美男子っていっちゃうとこが笑えます。) 対するロリータは美しいけれど汚い言葉も平気で使う映画スターの ゴシップ記事が大好きな女の子として書かれています。


ハンバートとロリータ(12歳から14歳まで?)はアメリカ中を旅し続けたり してロード・ノヴェルとしても読めますし、もちろん変質者側から書いた 犯罪告白物語としても読めます。そして後半は探偵物語としても楽しめます。


同じく1950年代に発表された『オン・ザ・ロード』と同じく、主人公は 話し続け、移動し続け、アメリカ中を駆け回るのですが、いったいなにを探してるのでしょう?

この『ロリータ』はナボコフ自身が最も自信をもち、自分の代表作とよばれ るだろうと語っているのですが、それはスキャンダラスな内容だからではありません。


多くの研究者がこの物語を読み解こうとしているのですが、

個人的に好きな読み方を紹介すると、 年をとったハンバートは旧世界のヨーロッパを表し、若く、美しく、 俗悪なロリータはUSAを表しているとして、 ヨーロッパがUSAを征服しようとし、傷つけ、逃げられる物語。

もうひとつはこの物語全体がハンバートの妄想だった、というもの。 こちらの読み方もよんでると説得力あります。


ところで日本の小説は日本とUSAの関係をどう描いてるのでしょう? 『コインロッカーベイビーズ』?『ゴーストバスターズ』?『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』?それとも『アメリカン・スクール』?『インデヴィジュアル・プロダクション』?まだまだたくさんありそうですね。

おしまい。


古本屋【WONNDER3】onlineshop    http://wonder3.shop-pro.jp/


ロリータ (新潮文庫)/ウラジーミル ナボコフ
¥900
Amazon.co.jp