『ロリータ』の若島正訳を読みました。
昔読んだ旧訳のほうは最後まで読めずにいたので、今回読みきれてうれしいです。
ナボコフはこれを書いたときアメリカに住んでいたのですが、 生まれ育ちはロシアの貴族階級で、亡命ロシア人です。 この『ロリータ』は最初パリで出版されましたし、出版後はスイスに永住しました。 いったい何ヶ国語話せて書ける人なんでしょう。
映画をみたり、そのポスターをみていたとき、ロリータのあのピンク?の サングラスが俗悪で、なんでだろ?と思っていたのですが読んでみてわかりました。
『ナボコフ自伝』を読んでるとこの著者の天才ぶりがよくわかります。 ボルヘス、マルケス、カルヴィーノ、に連なる20世紀の大作家といわれる ナボコフですがなんで40歳くらいの中年おやじ、ハンバート・ハンバートが 12歳のロリータに惚れるしょうもない?話を書いたのかずっと不思議でした。
ハンバートはヨーロッパ生まれのきちんとした教育を受けたハンサムな紳士として 描かれるのですが、(というか作中自分で美男子っていっちゃうとこが笑えます。) 対するロリータは美しいけれど汚い言葉も平気で使う映画スターの ゴシップ記事が大好きな女の子として書かれています。
ハンバートとロリータ(12歳から14歳まで?)はアメリカ中を旅し続けたり してロード・ノヴェルとしても読めますし、もちろん変質者側から書いた 犯罪告白物語としても読めます。そして後半は探偵物語としても楽しめます。
同じく1950年代に発表された『オン・ザ・ロード』と同じく、主人公は 話し続け、移動し続け、アメリカ中を駆け回るのですが、いったいなにを探してるのでしょう?
この『ロリータ』はナボコフ自身が最も自信をもち、自分の代表作とよばれ るだろうと語っているのですが、それはスキャンダラスな内容だからではありません。
多くの研究者がこの物語を読み解こうとしているのですが、
個人的に好きな読み方を紹介すると、 年をとったハンバートは旧世界のヨーロッパを表し、若く、美しく、 俗悪なロリータはUSAを表しているとして、 ヨーロッパがUSAを征服しようとし、傷つけ、逃げられる物語。
もうひとつはこの物語全体がハンバートの妄想だった、というもの。 こちらの読み方もよんでると説得力あります。
ところで日本の小説は日本とUSAの関係をどう描いてるのでしょう? 『コインロッカーベイビーズ』?『ゴーストバスターズ』?『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』?それとも『アメリカン・スクール』?『インデヴィジュアル・プロダクション』?まだまだたくさんありそうですね。
おしまい。
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