大法院
第2部
判 決
事 件 2021フ10589 権利範囲確認(特)
原告、被上告人 株式会社ホンイックハイエム
訴訟代理人 弁理士 イ ハクス
被告、上告人 株式会社ジェイエンエルテック
訴訟代理人 弁護士 キム シン
原審判決 特許法院2021.06.17.宣告2020ホ6316判決
判決宣告 2022.01.14.
主文
上告を棄却する。
上告費用は被告が負担する。
理由
上告理由を判断する。
1.特許発明と対比する確認対象発明が特許発明の権利範囲に属すると言えるためには、特許発明の請求範囲に記載された構成要素と、構成要素間の有機的結合関係が確認対象発明にそのまま含まれていなければならない。そして、確認対象発明において特許発明の請求範囲に記載された構成のうち変更された部分がある場合にも、両発明において課題の解決原理が同一であり、そのような変更によっても特許発明と実質的に同一の作用効果を示し、そのような変更がその発明が属する技術分野において通常の知識を有する者(以下「通常の技術者」とする)なら誰でも容易に考え出せる程度である場合には、特別な事情がない限り、確認対象発明は特許発明の請求範囲に記載された構成と均等なものであって、依然として特許発明の権利範囲に属するとみなすべきである。ここで「両発明において課題の解決原理が同一」であるか否かを見分ける際には、請求範囲に記載された構成の一部を形式的に抽出するのではなく、明細書中の発明の説明の記載と出願当時の公知技術などを参酌して先行技術と対比してみるとき、特許発明に特有の解決手段が基づいている技術思想の核心が何であるかを実質的に探求して判断すべきである(大法院2014.07.24.宣告2012フ1132判決参照)。
作用効果が実質的に同一であるかの可否は、先行技術において解決されていなかった技術課題であって特許発明が解決した課題を、確認対象発明も解決するかを中心に判断すべきである。したがって、発明の詳細な説明の記載と出願当時の公知技術などを参酌して把握される特許発明に特有の解決手段が基づいている技術思想の核心が確認対象発明においても具現されているのであれば、作用効果が実質的に同一であるとみるのが原則である。しかし、前記のような技術思想の核心が特許発明の出願当時に既に公知であったり、それと同然のものに過ぎない場合には、このような技術思想の核心が特許発明に特有であるとみなせず、特許発明が先行技術において解決されていなかった技術課題を解決したとも言えない。このようなときには、特許発明の技術思想の核心が確認対象発明において具現されているかどうかをもって作用効果が実質的に同一であるかの可否を判断することができず、均等可否が問題となる構成要素の個別的な機能や役割などを比較して判断すべきである(大法院2019.01.31.宣告2018ダ267252判決参照)。
2.原審は、判示のような理由で「蓄電池極板コンベアシステムの極板集束体の移送装置」という名称のこの事件特許発明(特許番号は省略)の技術思想の核心がこの事件特許発明の出願当時に公知されておらず、確認対象発明にこの事件特許発明の技術思想の核心がそのまま具現されていると判断した。このような判断を前提に原審は、両発明は課題の解決原理が同一であり、油圧シリンダの配置方式などの差異にもかかわらず、実質的に同一の作用効果を示し、油圧シリンダの配置方式などの変更は通常の技術者なら誰でも容易に考え出せる程度に過ぎないので、均等関係にあるとみて、確認対象発明がこの事件特許発明の権利範囲に属すると判断した。
3.原審判決理由を関連法理と記録に鑑みると、原審の判断に上告理由主張のように均等関係に関する法理を誤解するなどで判決に影響を及ぼした過ちがない。
4.よって、上告を棄却し、上告費用は敗訴者が負担するようにし、関与大法官の一致した意見で主文のとおり判決する。
裁判長 大法官 ミン ユスック
大法官 チョ ゼヨン
大法官 イ ドンウォン
主 審 大法官 チョン デヨップ