2024年3月7日の時点で、まだ改正はされていない。

 

韓国特許庁が韓国内の医薬品の特許の存続期間の上限を品目許可から14年までのみ認めることとした。存続期間の上限がないために医薬品の特許を過度に保護し、ジェネリック(複製薬)の発売が遅れ、国民の医療費の負担を高めるという指摘を受け入れたものである。

2023年3月20日、韓国特許庁と韓国国会などによると、韓国特許庁は最近、医薬品の特許権の存続期間制度の改善のための特許法の改正案を確定した。議員立法の形で近日中に改正案が発議される見通しである。

医薬品は開発に長い時間がかかる特性を勘案し、他の品目とは特許制度が異なって運営されている。一般に特許期間に臨床試験や規制機関の許可・審査により遅延された特許不実施期間を5年以内で延長する方式で運営されている。特許権の設定登録日と品目許可日との間に大きく差が付くことを勘案したものである。このような特許権の存続期間の延長制度は、米国、ヨーロッパ、日本、中国など、ほとんどの国が導入している。

韓国と他国の医薬品の特許権が異なるところは有効期間の上限可否である。米国やヨーロッパは医薬品の特許の全有効期間に上限を設けている。過度に特許を保護するとジェネリックの発売を防ぎ、国民の医療費の負担が高まるという理由からである。製品が品目許可を受けた時点を基準に、米国は14年、ヨーロッパは15年の上限期間を設けている。上限期間内では特許権の存続期間を延長することが可能であるが、上限期間を超える際、特許権も無くなる。

韓国特許法は別途の上限期間制限を設けていない。このため、米国やヨーロッパではすでに特許の保護期間が終了した医薬品も韓国では依然として保護を受けているケースが多い。ファイザーの標的抗がん剤であるザーコリは、別途の有効期間の制限を設けていないため、韓国で16年6ヶ月以上特許権の保護を受けている。

韓国特許庁によると、有効特許期間が14年以上の医薬品の特許は111件であって全体の18%に達した。品目許可を受けた製品だけを数えても79件であって、全体の約22%である。市場に出ている医薬品の4件のうち1件は、14年以上特許権の保護を受けていることになる。米国であれば、すでに特許権が満了し、ジェネリックが発売されたはずの医薬品である。

医薬品の特許権を過度に保護しているとの指摘はこれまで続いていた。共に民主党の国会議員であるチョン イルヨン氏は昨年の韓国特許庁に対する国政監査において「通常米国やヨーロッパは韓国より特許を含む知的財産権をより強く保護するが、特許の延長期間については韓国だけがひときわ緩い」とし、「少なくとも知的財産権の先進国である米国とヨーロッパの例示に基づいて、わが国民もジェネリック医薬品に恵まれるよう、特許庁長が迅速に制度を改善してほしい」と指摘した。

主要国の医薬品の特許権の存続期間延長制度の現状。韓国と日本は存続期間の上限が別途設けられていない。/韓国特許庁

韓国東国大学薬学科のクォン ギョンヒ教授の研究チームが最近「薬学会誌」に掲載した論文からも同様の指摘があった。クォン教授の研究チームは、「過度な医薬品の特許保護は低価ジェネリックの市場への参入を遅らせ、医療費の負担を加重させる」とし、「製品の許可日から特許期間の延長に対する適切な制限が必要である」と明らかにした。

韓国特許庁はこのような指摘を受け入れ、2022年の下半期から制度の改善に着手した。医薬業界の意見を取り入れるなどの過程を経て、2023年の2月、特許法の改正案を設け、国会との協議も進めた。

確定した特許法の改正案では、医薬品の特許権の存続期間を米国と同様に「品目許可後14年」に規定している。

延長可能な特許権の数も単数に制限される。従来は一つの医薬品に複数の特許権の延長が可能であった。このため、同じ医薬品であっても物質、医薬用途、剤形、投与用法などを別途の特許とした後、延長を別々に申請してジェネリックの発売を遅らせる「小細工」をするケースもあった。

米国やヨーロッパなどは一つの特許権のみ延長できるようにしていて、そもそもこのような小細工をする余地がなかった。韓国も今度に特許法を改正すれば、延長可能な特許権が単数に変わることになる。その他、韓国特許庁は医薬品の特許権の存続期間の延長手順や起算点を明確にするなど不備であった関連規定も整備した。

 

特許法人元全(WONJON)