米国特許分析機関ユナイテッド・ペイタンツが今月初に出した定期報告書によると、サムスン電子は今年上半期米国特許審判院に特許権利無効審判92件を提起した。これは特許侵害訴訟を受けた企業が当該特許に対する源泉的な権利無効を要請することであり、一種の反訴に該当する。サムスンが提起した無効訴訟92件は同期間76件で2位を記録したアップル、47件で3位に上がったグーグルと比較しても格段に多い。


サムスンがこのように今年上半期に従来よりも多くの特許紛争に追い込まれた理由は、昨年の延べ68件に達する特許侵害訴訟を先制的に受けたためだ。これだけでなく、サムスンは今年上半期にもすでに18件も特許侵害訴訟を受けた状態だ。下半期にも追加攻撃が続いている。7月1日にも特許専門業者(NPE)であるWfr Ipが無線イヤホン技術を無断で盗用したとのことで訴訟をかけた。
NPEは特定分野で事業撤収を行う企業から特許を安く買い込んだ後、生き残った企業を攻撃するパターンを持っている。製品を開発したり生産することなく特許関連訴訟を唯一の収益モデルにするため、「パテントトロール(特許怪物)」というニックネームがついた。スマートフォンから家電、半導体まで事業分野が広いサムスン電子はこのようなNPEのターゲットとなっている。サムスンは2020年と2021年にも特許無効審判請求で1位を記録した。このような傾向であれば、今年も年間基準で1位を占める可能性が高い。

サムスンはNPE最大企業であるスクラモジと戦争を始めた。サムスン電子は最近、スクラモジが保有する特許4件を無効と認めてほしいと要請した。スクラモジが今年1月、米国テキサス東部裁判所にサムスン電子を相手に提起した特許侵害訴訟7件に対抗したのだ。スクラモジは2019年に関連事業を撤収したある企業から無線充電に関連した応用特許100件以上をみ買い入れた後、サムスン電子を相手に損害賠償とともにライセンス費用を支払うことを要請しながら訴訟を起こした。
 

特許怪物の集中ターゲットとして有名になったサムスンには、内部出身の敵までも生まれた。サムスン電子特許担当取締役だったアン・スンホ前サムスン電子IP(知識財産権)センター長は、サムスン電子を相手に損害賠償訴訟を提起した。サムスンの「ギャラクシーS20」シリーズとギャラクシーバズ、ビックスビープラットフォームなどに適用されたオーディオ録音装置などが延べ10件の特許を侵害したと主張した。

サムスンは特許攻撃に積極的に対応するために組織を強化し、投資を増やしている。上半期の事業報告書によると、サムスン電子はイ・ハンヨン韓国弁理士を法務室IPセンター担当役員(常務)に迎え入れた。李常務は2000年代初頭、ネイバー(当時NHN)の1号社内弁理士に続き、ローファーム・ロップス&グレー米国弁護士、KIM&CHANG法律事務所などを経た知識財産権専門家だ。特許開発に不可欠な研究開発(R&D)費用も昨年の歴代最大値である22兆5965億ウォンを記録した。これは前年より1兆3735億ウォン増加した数値だ。

 

特許法人元全(WONJON)