1. 特許取消申請の概要
誰しも、特許権の設定登録日から登録公告日後6ヶ月になる日まで、特許取消事由が存在する特許権について、遡及して消滅させることを特許庁に要請することができる。(韓国特許法第132条の2)
2. 特許無効審判との違い
当事者系の手続きではなく、利害関係人でなくても申請でき、申請期間に制限があり、取消事由は無効事由より制限され、特許庁に納付する手数料が安い。
3. 特許取消申請の基礎となりえる先行技術の範囲
- 韓国特許法第29条第1号第1号(公然知られた発明及び公然実施をされた発明)(日本特許法第29条第1号及び第2号と類似)に該当する場合には、該当発明の特定及び第1号に該当するかの可否判断に相当時間がかかるので、特許取消申請の基礎となりえる先行技術として認められない。
- 同法第29条第1号第2号(頒布された刊行物に掲載又は電気通信回線を通じて公衆が利用可能)(日本特許法第29条第3号と類似)に該当する発明に対してのみ特許取消申請の基礎となりえる先行技術として認められる。
- 審査段階における引用発明は特許取消申請の基礎となりえる先行技術として認められない。
4. 特許取消申請の件数
無効審判請求の件数の約1/3水準である。
最近3年間の特許取消申請と無効審判請求の件数は次の通りである。
2018年 154件 VS 481件
2019年 176件 VS 493件
2020年 154件 VS 403件
5. 被申請人の国籍
2017年3月以降の統計を見ると、日本(企業)が197件で、407件の韓国(企業)の次に多い。
日本企業の特許197件の中では、電気通信分野(85件)及び化学分野(81件)が大多数を占める。
6. 特許取消申請による特許取消率
最近5年間、特許取消申請による特許取消率の平均は29%であり、請求人が審理中に追加の資料を提出できる特許無効審判による無効率に比べては低い。
最近3年間の特許取消申請の取り消し率と無効審判請求の無効率は次の通りである。
2018年 23.9% VS 45.5%
2019年 32.0% VS 54.9%
2020年 29.6% VS 42.1%
7. 特許取消申請の取消決定についての不服
特許取消申請の決定については、特許権者のみ取消決定に対して不服することができ、特許法院(日本の知的財産高等裁判所に対応)に提訴することによって不服できる。棄却決定に対しては不服ができない。
最近5年間の取り消し決定に対する不服率は23%であり、これに対して特許法院での原告の勝訴率は約20%である。
8. 処理期間
現在、特許取消申請に対する平均処理期間は約10ヶ月であり、これは特許無効審判よりもむしろ2ヶ月ほど長い。