(1)遺伝子
原則として、核酸塩基配列を中心に新規性を判断する。
特定のタンパク質が進歩性がある場合には、そのタンパク質をコード(coding)する遺伝子は、一般的に進歩性があるものとみなす。アミノ酸配列が明らかになった公知の特定のタンパク質をコード(coding)する遺伝子は、その遺伝子が特定の核酸塩基配列で記載されており、そのタンパク質をコードする他の遺伝子と比較して顕著な効果がある場合を除き、進歩性がないものとみなす。
(2)核酸断片
原則として、核酸塩基配列を中心に新規性を判断する。
用途や有用性に基づいて進歩性を判断する。特定の遺伝子の配列が既に知られている場合、その遺伝子のうちの任意の一部で構成される核酸断片は一般的に進歩性がないものとみなす。特定の遺伝子の用途や有用性が既に知られていても、核酸断片が新たな用途を持ったり知られている用途や有用性に比べて顕著な効果があることが立証される場合は、進歩性があるものとみなす。
(3)ベクトル
原則として、配列や開裂地図に含まれている構成で進歩性を判断し、挿入される遺伝子や核酸の組み合わせに構成の困難性があったり、その組み合わせによる顕著な効果が実証された場合、その遺伝子や核酸が含まれているベクターは、進歩性があるものとみなす。
(4)ペプチド
原則として、アミノ酸配列を中心に新規性を判断する。ペプチドが分離・精製された状態で公知されたが、他の特定の手段で特定され、従来のペプチドと比較して別個の物質として区別されている場合は、新規性があるものとみなす。
ペプチドを暗号化する核酸が進歩性がある場合には、原則として、そのペプチドも進歩性があるものとみなす。ペプチドが、既に分離・精製された状態で公知されていても、新たな活性や従来の活性よりも相乗効果を有する他の特定の手段で特定され、公知の物質と比較して顕著な効果を有する場合、進歩性があるものとみなす。
(5)モノクローナル抗体
原則として、可変領域のアミノ酸配列で新規性を判断する。場合によっては重鎖可変領域に存在する3つのCDRアミノ酸配列と軽鎖可変領域に存在する3つのCDRのアミノ酸配列を基準に判断する。抗体の新規性が認められれば、これを生産する抗体生産細胞株は、新規性があるものとみなす。
モノクローナル抗体の重鎖可変領域に存在する3つのCDRアミノ酸配列と軽鎖可変領域に存在する3つのCDRアミノ酸配列によって抗原に対する特異性や結合親和性などが、従来の抗体と比較して顕著な効果を有する場合、進歩性があるものとみなす。
(6)微生物
微生物自体の発明は、微生物が公知の微生物と同じである場合には、新規性がないものとみなす。微生物の利用に関する発明は、利用した微生物が公知の微生物と同じ場合でも、利用に関する発明の対象と区別される場合には、新規性があるものとみなす。
微生物自体の発明は、微生物の菌学的性質、利用上の効果やそのほかの特性によって進歩性を判断する。公知の微生物と菌学的性質における顕著な違いがあるのは、進歩性があるものとみなす。公知の微生物と菌学的性質における差がない場合でも、利用上の効果などが存在する場合、進歩性があるものとみなす。
微生物の利用に関する発明は、利用した微生物が公知の微生物と菌学的性質における顕著な差がある場合には、微生物を利用して生産する物質などが同じ場合でも、進歩性があるものとみなす。一方、利用された微生物が公知の微生物と比較して新規性があっても分類学的に同じ種に属して利用に関する発明の対象が同一の場合には、進歩性がないものとみなす。ただし、微生物を利用したことが公知の微生物を利用したことと比較して顕著な効果がある場合には、進歩性があるものとみなす。
(7)形質転換体
遺伝子の欠失、置換または付加などの操作により先行技術と区別される特徴を示す形質転換体は新規性があるものとみなす。
遺伝子の欠失、置換または付加などの操作により顕著な効果を発揮する場合、進歩性があるものとみなす。