無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善:4ヶ月後のレポ
こんにちは、口腔学顔面外科専門医のパクジョンチョルです。
今回は無顎、顔面非対称を改善するために前顎前進術、エラ縮小術、頬骨縮小術を受けた患者様の手術レポをお見せしたいと思います。
こちらの方は特に非対称もあった方で、無顎、前顎前進術などの輪郭手術が、両顎手術などの顎矯正手術と顔の非対称改善において、どんな違いがあるのかも一緒にご説明させていただきます。
顔の非対称改善において輪郭手術と顎矯正手術の違い
今回の記事を通して無顎、非対称のある方は自分に適用する手術方法が顔面輪郭手術か、それとも両顎手術のような顎矯正手術か、十分にご理解いただき適切な手術をご選択いただけるきっかけになると幸いです。
手術計画
顎先は左側に1.81mm偏っています。下顎の3つの部位であるオトガイ、体部、角部が全て左側に偏っています。数値上では多い量ではありません。
ちなみに下顎でオトガイ、体部、各部は以下の部位を意味します。丸く印した部位がオトガイで、四角が体部、矢印の部位が角部になります。
実際の臨床写真を見て分析してみます。
臨床写真から前顎が左側に偏っていることをご確認いただけます。
患者様に下顎を動かしてできる限り対象が合うよう誘導してみます。下顎を右側に動かすと、元の状態に比べ顔面非対称が改善します。
このように顔の非対称をより根本的に改善するため、下顎の三つの成分であるオトガイ、角部、体部が全般的に右側に移動しなければなりません。
下顎を全般的に移動できる手術方法は
両顎手術のような顎矯正手術です
しかし、こちらの患者様は両顎手術ではない輪郭手術を希望しました。
この場合、下のように非対称が改善されます。
つまり、相対的に大きい左側の骨を削除し、左右のサイズを合わせることになるのです。しかし、この場合、非対称の改善には限りがあり得ます。
色んな角度から臨床写真を分析してみます。側面では無顎であることをご確認いただけます。
次のように手術を行うことにします。
前顎前進術:長さ維持、幅3mm、前進量5mm
エラ縮小術:耳たぶから7mm残して角切除
頬骨縮小術:骨切除量3mm、45度固定2mm金属板使用、横頬骨固定7mm金属板使用
術後3ヶ月3D骨格の変化
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
右側に比べ左側の皮質骨をもっと切除しました。
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
術後3ヶ月3D軟組織の変化
耳たぶと頬(cheek)が繋がる(attachment)部位の変化にご注目ください。
Singh, P & Purkait, Ruma. (2009). Observations of external ear-An Indian study. Homo :
internationale Zeitschrift für die vergleichende Forschung am Menschen.
60. 461-72. 10.1016/j.jchb.2009.08.002.
赤い線は下顎角の切除高さですが、左右同じです。
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
術前に比べ左右側全ての耳たぶが内側に移動されました。
術後3ヶ月の断面変化
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
術前にも左側の下顎角部位がやけに突出されたことが見えます。術後、左側の軟組織がより多く縮小されました。
術後の側面の変化も観察してみましょう。顎先が前進されたことが確認できます。
無顎、前顎前進術を利用した顔の非対称改善
手術直後、術後3ヶ月の骨格変化
骨は生きている組織です。従って、手術後にもその形は微細に変わります。オトガイ前進術部位が手術直後に比べ柔らかくなりました。このような変化を許すか、最小化するかは考える必要あります。
側面からの変化もお見せします。ちなみに下顎を基準に重畳しました。
術前、術後4ヶ月の臨床写真の比較
今回は無顎と前顎前進術、顔面輪郭3点手術に関してご説明させていただきました。
記事の内容をご参考の上、質問などございましたらお気軽にご連絡ください。