~お知らせ~

ブログ友であるマドモワゼルB姐さんのブログで、今楽しい映画クイズをやっています。前回が男優編で今回は女優編です。クラシック映画やドラマについては私など足元にも及びません。今、挑戦している最中ですがなかなか難問揃いです。是非挑戦してみてください!

 

 

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今日の映画を初めて見たのは公開から10年くらい経ってビデオで見てます。不思議な魅力のある映画です!

 

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ディーバ

1981年/フランス(118分)

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80年代以降の新しいフランス映画の旗手と言われる、ジャン=ジャック・ベネックス監督の長編映画デビュー作品!

 

 

 監督

ジャン=ジャック・ベネックス

 キャスト

ウェルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデス/シンシア・ホーキンス

スレデリック・アンドレイ/ジュール

リシャール・ポーランジェ/ゴロディッシュ

チャイ=アン・チュー/アルバ

ジェック・ファブリ/ジャン・サポルタ(警視)

シャンタル・ヂアーズ/ナディア

アニー・ロマン/ポーラ

 

▲ウェルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデス/シンシア・ホーキンス

▲スレデリック・アンドレイ/ジュール

▲リシャール・ポーランジェ/ゴロディッシュ

▲謎の2人組の殺し屋

郵便配達員ジュール(スレデリック・アンドレイ)は、アルバム録音を出さないことで知られるアメリカのソプラノ歌手シンシア・ホーキンス(ウェルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデス)のファンで、パリ公演の彼女の音声を隠し録りし、楽屋で彼女のドレスまでも盗んでしまう。盗難騒ぎが大きく新聞で報じられ、彼女にドレスを返しにいくが彼女に見つかってしまう。しかし、二人で話すうちに心を許し親密になっていく。その一方で、娼婦が2人組の男に殺されるが、寸前にジュールのバイクにある組織の秘密を暴露したテープを隠した。ジュールの録音したリサイタルテープと、殺された娼婦ががジュールのバイクに隠したテープの行方を巡り、追われるジュールの前に、ベトナム人少女アルバとその恋人ゴロディッシュに助けられるのだが・・・

1981年にフランス国内で3年近くもロングラン上映され、その後のフランス映画界の新しい波を作ったジャン=ジャック・ベネックス渾身の一本!

 

 

  歌声が恋と事件を引き起こす!

 

「ディーバ(diva)」とはもともとイタリア語で、日本語では主に「歌姫」と訳されます

 

主演は、郵便配達人の青年ジュール(スレデリック・アンドレイ)なのですが、題名にもなっているアメリカ人ソプラノ歌手シンシア・ホーキンス(ウィルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデス)の美しい歌声が恋と事件を引き起こします。本人の歌唱というのも驚きで、出番は少ないですが強烈なインパクトでした

 

映画としては、音楽、アクション、ラブストーリーを交えたサスペンスというのが大方の見方だと思いますが、よく言えばバラエティーに富んだ、悪く言えば散漫な映画です。ただ、きわめてスタイリッシュな映画です。こういう映画をアメリカで撮るともっとわかりやすく明快な映画になるのですが、フランスだとどこまでもシュールでスタイリッシュです。さらに登場人物像がいいです。歌姫とジュールの2人の恋は若干出来すぎの気がしますが、その二人を取り巻く人物たちが面白い。随所に助けてくれる男、ゴロディッシュとベトナム娘のコンビ、イヤホンでシャンソンを聞きながら仕事をこなす殺し屋の2人組、事件を追いかける男と女のペアの刑事たち、テープの行方を追う香港から来た二人組。この映画の登場人物は全てペアになっているというところがカギです!主な登場人物でペアでないのは??。キャラクターの設定がちょっと微妙ですが面白い。うまく表現できないのですが、サスペンスとして見るよりパリを舞台とした映像作品というようなざっくりとぼんやりとしたスタンスで見た方が楽しめるかもしれません

 

 

  不思議な感覚の映画!

 

ひと口でなんのジャンルの映画かはっきりとしない(させない?)、もう少しわかりやすく言うとジャンルを超えた映画なのでしょう。主人公と歌姫、主人公とベトナム娘のファンタジックのシーンがあると思えば怒鳴り合うリアルなシーンもあります。ちょっと混乱するストーリーで、オペラあり犯罪あり恋ありアクションありの色彩感覚豊な作品です。アクションシーンは若干荒っぽいですが、地下鉄をバイクで疾走するシーンは見ごたえあります。さらに色使いの美しいことです。”波を止める男”のゴロディッシュの家や主人公ジュールの乗る黄色と赤のバイク(最初に登場するバイクは黄色で友人から借りたバイクが赤)。そしてホーキンスとジュールが散策するパリのうっすら青い朝の色など、見どころもたくさんあります。幻想的な音楽にぼんやりした青の色調に1本の傘と2人がアップになっていき、ジュールの赤のジャケットが印象的でした。そういえばロフトの床に描かれていたのは、「ミクロの決死圏」「恐竜100万年」などの肉体派女優のラクエル・ウェルチでした。そう言えば「ショーシャンクの空に」でアンディの独房に貼られた3枚のポスターの中の1枚がやはりラクエル・ウェルチでした。ちなみに他の2枚はリタ・ヘイワースとマリリン・モンローです

 

一瞬たりとも目が離せないサスペンス・タッチの作品で、オペラあり、殺人あり、恋あり、アクションありの色彩感覚豊かな作品です


この映画を中で異彩を放っているのが、”波を止める男”ゴロディッシュとベトナム娘の存在です。謎めいたこの二人の存在が不思議な歩行へ導いてくれます

「温度が大切なんだ。ナイフは薄過ぎず厚すぎず、パンの中身は新し過ぎず古過ぎず、芸術だよな!それがフランス人の趣味のよさだ。いいか、バターを塗る。接着剤なんかでハイになる奴もいるが、おれの ”悟り” はこれだ。バターを塗る瞬間の禅の境地。いいか?もはやナイフもパンもバターも存在せず、そう空間!無だ!」

  音楽と映像のハーモニー!

 

サスペンスを軸にした映画なのですが、そうは感じさせないくらい音楽がすばらしい。冒頭の歌声を含め随所に流れる音楽が心地よく、幻想的なシーンと日常的なシーンがクロスして現れ奇妙な感覚になります。現実と幻想の対比が面白いですね。不思議な魅力にあふれたフランスらしい映画です

 

是非どうぞ!