”今だから観たい映画”
もちろん好きな映画を観ればいいのですが、こんな時だからこそ改めて人とのふれあい、動物とのふれあいなどじっくりと観たいですね。今日の映画は劇場公開時に横浜の「ムービル」で観ております。その後レンタルで数回、思い出深い一本でもあります
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「レインマン」
1988年/アメリカ(134分)
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自由奔放に生きる青年がサヴァン症候群の兄と出会い、人間として成長を描くヒューマン・ドラマ!
<**監 督 **>
バリー・レヴィンソン
< **キャスト **>
ダスティン・ホフマン/レイモンド
トム・クルーズ/チャーリー
ヴァレリア・ゴリノ/スザンヌ
ジェリー・モーレン/医者
ボニー・ハント/サリー
監督は「グッドモーニング・ベトナム」(87)レッドフォードの「ナチュラル」(84)などを手掛けたバリー・レヴィンソン。本作で第61回アカデミー監督賞を獲っています。主演は「卒業」(67)「真夜中のカーボーイ」(69)「パピヨン」(73)そして以前レビューした「トッツィー」のダスティン・ホフマン。そして、もう一人の主役は「トップ・ガン」(86)で一躍有名になり「ミッション・インポッシブル」シリーズなど多数出演の超人気俳優のトム・クルーズです。基本的にはほとんどがこの二人のシーンですが、医者役で「シンドラーのリスト」「ジュラシック・パーク」などを制作したジェリー・モーレン。短いシーンですが以前「シネマDEクイズ」にも出題した、喫茶店で落とした爪楊枝の数を一瞬でレイモンドが当てた場面がありますが、そこのウエイトレスがこの映画デビューのボニー・ハントでした。彼女はその後「ベートーベン」シリーズや95年版「ジュマンジ」でヒロイン役でした
▲トム・クルーズ/チャーリー
▲ダスティン・ホフマン/レイモンド
チャーリー(トム・クルーズ)は、高級車のディーラーをしているが経営が思わしくない。そんな中、没交渉になっていた父の訃報が届き遺産を相続するために故郷に戻る。そこで彼は、サヴァン症候群の兄レイモンド(ダスティン・ホフマン)がいることを初めて知らされ、その上、父の遺産のほとんどが兄に残されることを知った。納得いかないチャーリーは兄を施設から連れ出し二人の奇妙な旅が始まるのだが・・・
物語は、自由奔放に生きている青年の元へ、没交渉になっていた父の訃報が届くところから始まります。主人公のひとりであるチャーリー(トム・クルーズ)の生活、人間性、生き方をテンポよく描いていることが後半になって効いてきます。物語の導入部の作りがていねいでわかり易く、しかもラストはありがちな感動の押し付けでなくすんなり終わらせたのが好感が持てます
映画のタイトルになっている「レインマン」は、主人公のチャーリーが子どもの頃、雨になると唄を歌って遊んでくれた兄レイモンドのことで、記憶が混同して「レインマン」と呼んでいました
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第61回アカデミー賞4部門受賞作品!
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この映画は第61回アカデミー賞に8部門ノミネートされ、「作品賞」「監督賞」「主演男優賞」(ダスティン・ホフマン)など、この年最多の4部門に輝いています。賞の有無はあまり気にしておりませんが、全米、日本でも大ヒットしており観た人も多いと思います。主人公のダスティン・ホフマンは本作で「クレイマー・クレイマー」(79)に次いで二度目のアカデミー賞主演男優賞に輝いています。誰もが納得の受賞ですが、個人的には生涯5回くらい獲っていても不思議はないと思っているほどの名優です
この映画は、二人の兄弟が出会ってから一週間の出来事を描くロード・ムービーです。過去に何度か話したことがありますが、バディ映画やロードムービーは、それぞれがキャラ立ちしていることと、二人の演技力がなければ話しになりません。そういう意味ではロードムービーの傑作と言われる「ペーパー・ムーン」(73)「イージー・ライダー」(69)「スケアクロウ」(73))「ハリーとトント」(74)などと並べても決してひけを取らない上手さと演出があります。なお、「ロードムービー特集」で第55回の「シネマDEクイズ」で特集を組んでおりますので参考にどうぞ!
*あなたが選ぶ「ロードムービーは?」解答編
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最初に観たトム・クルーズの映画は?
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多くの人が答えるのは「トップ・ガン」(86)でしょうか?それとも「ミッション・インポッシブル」(96)でしょうか?
この映画は、トム・クルーズが26才の時の作品で、あの「トップ・ガン」のわずか2年後の作品です。トム・クルーズというとアクション俳優というイメージが強いですが、それは「ミッション・インポッシブル」の96年以降です。彼は決して、走って撃ってばかりの俳優ではありません。ノンアクション作品でも、出世作となった「卒業白書」(83)群像劇の傑作「マグノリア」(99)感動的な「大いなる陰謀」(07)サスペンスの「ザ・ファーム」(93)意外と深い「カクテル」(89)大好きなロブ・ライナー監督の「ア・フュー・グッドメン」などたくさんの力作に出演しています
この映画では、サヴァン症候群の兄レイモンドを演じたダスティン・ホフマンが絶賛されオスカーまで手に入れましたが、もう一人のトム・クルーズはノミネートすらされていません。個人的には、ダスティン・ホフマンの影にかくれて見逃されがちですが彼も素晴らしかったです。輝いて見えましたね。先に述べた出演作を見てもわかる通り、単なるアクション俳優ではないのがわかります
「バカみたいだな・・・」
チャーリーがレイモンドにダンスを教えるシーンがいいですね(上写真)。短い旅でだんだん二人が心を通わせていくのですが、本当に心を閉ざしていたのは兄レイモンドではなく弟チャーリーでした
ダスティン・ホフマンの絶対的な演技によって、より説得力のある映画になり、トム・クルーズの上手さを再認識した映画です
「My main man. Charlie」
ラストで、レイモンド(ダスティン・ホフマン)がチャーリー(トム・クルーズ)に向けて「チャーリーは僕の親友だ」と言ったセリフが全てを物語っています
あまり引っ張りすぎないで静かに着地したのが、むしろ味わいがあってよかったですね。一度も観たことがないことがない人はもちろん、観た人も是非どうぞ!