今日の映画を初めて見たのは20代の後半にレンタルで。残念ながら劇場では見たことがありません。70年代ほど泥臭くなく、そうかと言って90年代ほど洗練されてもいません。それでも妙に懐かしい匂いのする一本です

 

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「アウトサイダー」

1983年/アメリカ(91分)

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どこにも行き場のない少年たちの姿を描いたフランシス・コッポラ監督の80年代青春映画の傑作!

 

 監督

フランシス・コッポラ

映画ファンではなくても名前は聞いたことがあると思いますが、アメリカを代表する映画監督、映画プロデューサー。「ゴッドファーザー」(72、続編あり)「地獄の黙示録」(79)など多数の映画でアカデミー賞をはじめとする各映画賞を総なめにしています。本作「アウトサイダー」「ランブルフィッシュ」(83)「コットンクラブ」(84)はコッポラYA三部作と呼ばれています。芸能一家で父は作曲家、母は女優、娘さんのソフィア・コッポラ、息子さんのロマン・コッポラは共に映画監督で、映画「ロッキー」でお馴染みのタリア・シャイアは妹、さらに甥にニコラス・ケイジがいます

 脚本

キャスリーン・ローウェル

 音楽

カーマイン・コッポラ

 キャスト

C・トーマス・ハウエル/ポニー・ボーイ

マッド・ディロン/ダラス

ラルフ・マッチォ/ジョニー

 

ロブ・ロウ/ソーダポップ

トム・クルーズ/スティーブ

ダイアン・レイン/チェリー

 

パトリック・スウェイジ/ダレル

 

この映画には、「ブラッド・パック」と呼ばれた80年代ハリウッドの青春映画に出演した若手俳優グループ(ロブ・ロウ、トム・クルーズ、C・トーマス・ハウエル、マッド・ディロンなど)が多く出演しています。このグループには、ほかにデミ・ムーア、エミリオ・エステベス、アンドリュー・マッカーシー、ショーン・ペンなどがいます

 

出演は「ヒッチャー」のC・トーマス・ハウエル、「E.T」でも主人公エリオットの兄マイケルの友人役で出演していました。ほかに「メリーに首ったけ」「誘う女」ランブルフィッシュ」のマッド・ディロン、「ベストキッド」「クロスロード」のラルフ・マッチォの三人を中心に「ゴースト・ニューヨークの幻」のパトリック・スウェイジ、「栄光のエンブレム」のロブ・ロウ、「ヤングガン」のエミリオ・エステベス、「コットンクラブ」「トスカーナの休日」のダイアン・レイン。そして今や大スターのトム・クルーズらの若き姿が見られます

 

 

 

オクラホマの田舎町が舞台

14才のポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)は施設帰りの長兄ダレル(パトリック・スウェイジ)、次兄ソーダポップ(ロブ・ロウ)と暮らしていた。彼らは貧困層の不良グループ「グリース」の一員で、ことあるごとに富裕層のグループ「ソッシュ」と争いを繰り返していた。そんなある日、友人のジョニー(ラルフ・マッチォ)はソッシュのひとりをナイフで刺し殺してしまうのだが・・・

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正統派の青春映画!

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真っ白なノートに主人公ポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)が言葉を綴り、夕陽に染まったスクリーンからスティービー・ワンダーの「Stay Gold」が流れ始めた時の感動は今でも忘れられません!

 

ストーリーはいたって平凡。いまひとつヤマらしいヤマがなく消化不良気味なのは事実ですね。言いたいことはわかるのですが、もうひとつ伝わってこないもどかしさがあります。公開直後、この映画は「内容がない」と酷評されたそうです。商業映画である以上、興行成績や批評は当然のことで甘いと言われるかもしれませんが、こういうタイプの映画は論評すべきではないですね。目で見る映画ではなく気持ちで観る映画だと思います

 

 

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 たった90分の物語が若者たちを魅了する!

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33才の時に撮った「ゴッドファーザー」で時の人になり、その後「地獄の黙示録」などを経てフランシス・コッポラ監督が撮ったのが、この作品です。若い時は必要以上にイキがったり、思いもよらぬ行動を起こしたりします。それでいて繊細で傷つきやすかったりもします。そんな若者たちを描いた映画がこの「アウトサイダー」です

 

「夕陽を眺める、その心が黄金なんだ。その気持ちをずっと持ち続けてくれ!」

 

ジョニー(ラルフ・マッチォ)が残した手紙がいつまでも心に残ります。ちっぽけな感傷と笑われるかもしれませんが、こういう「青春の美学」が受け継がれることを期待したいですね

 

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不良グループ「グリース」たちの決めポーズ!

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この時のメンバーが凄い!

(左から)

トム・クルーズ

ロブ・ロウ

C・トーマス・ハウエル

マット・ディロン

ラルフ・マッチォ

エミリオ・エステベス

パトリック・スウェイジ

 

貧しい家庭に育ち、これといった夢もなく、もどかしさと切なさを抱えている「アウトサイダー」たちのイカしていること!生き方もそうですが、「グリース」の面々のジーンズにTシャツ、Gジャン、ライダースといった格好は、さり気なく、素朴で汚く、それでいて不良っぽくて「イケてる」という表現がぴったりです。ちなみに、山の手の不良グループ「ソッシュ」のファッションはボタンダウンシャツにチノパンのアイビー!彼らのファッションを見ているだけでも楽しいですね

 

ちなみに、この映画には若き日のディカプリオ、ニコラス・ケイジ、ミッキー・ロークらがオーディションに落ちています

 

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哀しく切ない青春映画!

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少し極端な言い方ですが、この映画を観て何も感じなかった人はある意味、幸せな青春を送っていたのだろうと思います

 

公開当時(初見が)、青春時代を生きていた人が本当にこの映画を理解できるのでしょうね。自分がこの映画を初めて観たのがレンタルで20代後半。ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」、ミュージカル青春映画の傑作「ウエストサイド物語」、夏になれば思い出す「スタンド・バイ・ミー」と並んで忘れられない青春映画の一本です!

 

 

 

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マッド・ディロンががカッコイイ!

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映画の中でのセリフでもありますが、「ノースサイド」と「ウエストサイド」(山の手と下町)の、どちらの窓からも黄金の夕陽を見ることが出来る。ただ、それを見られる青春時代は一瞬でしかない

 

「いつまでも黄金でいろよ!」

 

それは瀕死のジョニー(ラルフ・マッチォ)が、フロストの詩になぞって「グリース」のみんなに残した言葉ですが、同時にこの映画に出演した「ブラッド・パック」の面々、さらに、この映画を観たすべての人に向けた言葉だと思います

 

今、青春時代真っ盛りの人はもちろん、かつて青春時代を迎えた人も熱い心にさせる一作!

 

是非どうぞ!

 

Stevie Wonder - Stay Gold.