相変わらず忙しい(笑)

 

この映画を初めて観たのは、名画座の早稲田松竹かギンレイホールのどちらかだとは思いますが思い出せません。強烈でしたねえ~その後、レンタルでなんども観てます。特に好きな70年代の映画の中でも、「ペーパー・ムーン」「タクシー・ドライバー」「スティング」「エイリアン」「ディア・ハンター」「暗殺の森」などと並んで忘れられない一本です

 

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「スケアクロウ」

1973年/アメリカ

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男同士の深い友情を描いた、ジーン・ハックマンとアル・パチーノ主演のロードムービーの秀作!

 

 

<監督>

ジュリー・シャッツバーグ

写真家出身の監督らしく、この映画でも構図が際立って美しいです!この映画で、カンヌ映画祭でパルム・ドール賞を取っています!デミ・ムーアの「恋人ゲーム」も良かったですね

 

<キャスト>

ジーン・ハックマン(マックス)

以前レビューした大好きな映画「俺たちに明日はない」をはじめ、「ミシシッピー・バーニング」「クリムゾン・タイド」「許されざる者」さらに、あの「ポセイドン・アドベンチャー」に、アカデミー賞主演男優賞を獲得したウィリアム・フリードキンの「フレンチ・コネクション」など数多くの作品に出演しています

アル・パチーノ(ライオン)

「ゴッドファーザー」はあまりにも有名ですね~「セルピコ」「狼たちの午後」さらに「カリートの道」、デ・ニーロとの共演で話題になった「ヒート」も良かったです!

 

 

刑期を終えたばかりのマックス(ジーン・ハックマン)と、長い船乗り生活から足を洗ったライオン(アル・パチーノ)が出会うところから物語が始まります

 

この映画は、最初と最後が特に優れた映画です!

 

二人の出会いのシーンがいいです。今にも泣き出しそうな空と、二人の間に長く続く道・・・殺風景な田舎道で、お互いに意識しながらも微妙な距離感を保っている、そんな二人がおかしい(笑)そんな二人を近づけたのが、1本のマッチの小さな炎!二人の心情を重ね合わせた見事な構図でした

 

時代に取り残されて世間とうまくコミュニケーションできない二人の、哀しく切ないロード・ムービーの代名詞的な作品です

 

アル・パチーノ

ジーン・ハックマン

 

マックス(ハックマン)は、ケンカっ早い乱暴者。ライオン(パチーノ)は、いつも笑顔を絶やさないひょうきん者。二人の旅が、まるでスケッチのように描かれています。題名の「スケアクロウ」は「案山子」の意味ですが、映画の中でも語られています

 

案山子の立っている場所にカラスが寄り付かないのは、案山子がカラスを笑わせているから。笑わせられたカラスは、こんないい奴がいる畑を荒らすのはよそうと、その畑をさける

 

「俺たちは案山子だな」

 

荒々しさと素朴さと温かさを兼ね添えた作品です!

  

 

こんな純真なアル・パチーノは見たことがないです(笑)彼が持ってきたプレゼントの箱が、だんだん薄汚れていくのが未来を暗示しているようで哀しいです。電話ボックスや噴水のシーンは泣けますね

 

面白いか面白くないかは、個人の感想ですが好きな映画です。今の時代の急かすタイプの映画ではありませんから70年代の空気感に浸りきれないとつまらなく感じるかもしれません

 

 

 

二人の「旅」がまるでスケッチのように描かれています。さらに、マックスとライオンの二人の過去、現在の心情を見事に表現していました

 

抑揚がなく、気だるいという人がいますが・・・

この映画は、ジーン・ハックマンとアル・パチーノを前半にしっかり追っていないと後半の良さはわからないでしょうね

 

ラスト近くで、重症でライオンが病院に担ぎ込まれ、その時マックスが言い放ちます

 

「金はある!直してくれ!」

「俺ひとりじゃダメなんだ!」

 

切ないラスト・・・

 

マックスが、受付カウンターにクツの踵を打ち続けるラストカットは完璧です!実は、このラストはマックスの決意であると思います。絶対に救ってやる!と。だから小さな希望があると信じたい

 

 

センスの高いカットが随所に出てきます

 

特に、最初と最後がすばらしい

 

最近の映画は、素晴らしく質の高い作品が多いですが、妙に凝り過ぎ、語り過ぎの感があります。この映画は、淡々として派手な演出も少ないですが、真摯なロードムービーとして心に残る、まさに名作に相応しい映画だと思います

 

是非、ご覧ください!