ども^^相変わらず忙しい!
友人に言わせると、年中忙しいのは性格なんだそうです(笑)次回から再び特集を予定しております
「スポーツ映画特集」
スポーツ映画というより、スポーツを題材にした映画を考えてますが、みなさんはどんな「スポーツ映画」を思い出しますか?
今日の映画は、実は書くかどうか迷っておりました・・・
初めて観たのは東京飯田橋の名画座で、高校二年の秋と記憶しています。その後、テレビで一度、レンタルで何度も
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「砂の器」
1974年/日本
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松本清張による同名小説を、野村芳太郎監督、橋本忍・山田洋次脚本で映画化した社会派サスペンス
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<原作>
松本清張
<監督>
野村芳太郎
<脚本>
橋本忍
山田洋次
<音楽>
芥川也寸志
<撮影>
川又昴
<キャスト>
丹波哲郎/今西刑事
森田健作/吉村刑事
加藤剛/和賀英良(子)
緒方拳/三木謙一
加藤嘉/本浦千代吉(父)
島田陽子/高木理恵子
山口果林/田所佐知子
佐分利信、松山省二、菅井きん、渥美清など多数出演の、まさにオールスターキャストに相応しいスケールの大きな映画です!
松本清張作/昭和35年新聞掲載
テレビで過去何度もドラマ化していますが、ドラマでは犯罪の理由となる父親の設定が違ったりしており、根本的にはこの映画と別のストーリーと思った方がいいと思います!
この映画、というより、この物語は犯人の動機がわからないと到底理解できないです!
テレビではこのあたりが曖昧にすり替えられており、原作の持っていた推理小説の要素は完全に消失しています
主人公(和賀英良)の父(加藤嘉)はハンセン病により故郷を追われます
その「ハンセン病」とは何か?
それを少しでも理解できていないとこの映画の真理に近づけません。某書籍よりの抜粋ですが、簡単に説明します!
ハンセン病とは、らい菌が主に皮膚と神経を侵す感染症ですが、治療法が確立された現代では完治する病気です。にもかかわらず、社会の無知、誤解、無関心また、根拠のない恐れから一部で差別、偏見が根強く残っています。この小説は昭和35年が舞台ですが、主人公が父千代吉と放浪の旅の末、三木巡査に保護された昭和13年当時は、ハンセン病は前世の罪のむくい、悪しき血筋による病との迷信や迫害があったそうです。さらに、ハンセン病は「業病」であり、凶悪な伝染病であると信じられ偏見、迫害をうけ、国家をもあげて隔離撲滅が行われていたとされています
ジブリの「もののけ姫」はハンセン病を描いており、さらに、以前このブログで紹介した「ベンハー」でも、「業病」という言い方をしています。なお、自分の説明不足、理解不足がありましたらお詫びいたします。ただ、この映画を紹介するにあたり、この部分は絶対に避けては通れないことをご理解いただきたいと思います
物語は、国鉄蒲田操車場で初老の殺害死体が発見されたことから始まります・・・
捜査が難航しますが、刑事たちの執念で追及、美しい日本の四季の風景を織り交ぜながら捜査の過程を叙情豊かに描きます
人間ドラマ
壮大な音楽
謎ときのスリル
美しい日本の四季
父の難病ににより故郷を追われ、暗い過去と決別するため殺人を犯す、主人公の和賀!
美しい日本の四季の風景と、荒涼たる厳しい冬の風景が、父子との心情と重なり印象深い物語です
原作は上下巻で800ページを越す大作ですが、松本清張氏が数ある彼の映画の中で唯一「原作を超えた」と言わしめた映画です!
143分の大作映画の上、重くて暗い哀しい物語です!しっかりと真正面から観るべき映画だと思います
つっこみどころも多く、ご都合主義のところもも否めません。友人曰く、3回借りて3回とも退屈で途中で寝たというのもわからないでもないですがねえ(笑)一部の若手俳優たちの大根ぶりにもあきれます(笑)ただ、映画は減点ゲームで観るべきではないと思います。そういう楽しみ方もありますしそれを否定するつもりもありません。映画は自由に楽しんでいいのですから!何度も観るうちにアラも見つかってきますが、感動は薄れるどころか深まるばかりです
この長編を見事にまとめ上げた脚本は見事と言う以外言葉が見つかりません。さらに、撮影が川又昴さんですからねえ~日本の四季の美しさと哀しさが見事です!
まるで風景が生き物のようでした
後半の回想シーンに目がいきがちですが、前半の構成がすばらしいと思います
この映画は、父と子の美しくも哀しい愛と絆の物語です!
「宿命」
人情味あふれる三木巡査(緒形拳)の養子になって生きる、という道は少年(和賀)にはあったはずなのにそこから逃げ出します。ハンセン病で施設に収容された時の父子の別れ・・・この時、彼は「父を捨てた」というより「過去を捨てた」のです。一緒に各地を放浪した彼等にとっては別れることが耐え難いことだったでしょう
施設でハンセン病の本浦千代吉が、立派に成長した息子の写真を見せられます
「知らねえ~そんな人は知らねえ!」
わなわなと震え叫ぶシーンは凄かったです
子どもとの縁を断ち切らなければならなかった父からの愛の叫びです!
「なぜ、和賀は殺人を犯さなければならなかったのか?」
父である本浦千代吉の設定さらに、和賀が恩人を殺害するに至った経緯が描かれていないテレビドラマとは全く別の物語であるということを、まず理解してください!
吉村刑事(森田健作)は、今西刑事(丹波哲郎)に尋ねます
「和賀は、父親に会いたかったんでしょうね?」
「そんなことは決まっとる!」
父も子と会いたがっている。でも、会わないと決めている!そのことを善人な三木にはわからなかった、そこが悲劇です!善意が悲劇を生むことにとなります!
圧巻のクライマックス!
加藤剛扮する和賀の奏でるピアノ演奏と、ハンセン病を患った父親との悲哀の過去が交差するシーンは圧巻で、松本清張氏が「本では表現できない」と絶賛したほど感動的です
「宿命」の旋律と一体になります!
幼い和賀が、父と苦楽を共に歩んできた旅の映像
セリフは一切ありません
冬は凍えそうな雪の吹きすさぶ浜辺を歩き、桜が咲き誇る春はムラの子供たちにいじめられ・・切っても切れない父と子の絆です!
「宿命」
不覚にも涙がこぼれました・・・
自身の父と自分と二人だけの生活がよみがえった瞬間でした!
甘っちょろいと言われてもいい・・
この映画は沁みます!
ラストシーン
コンサートの中、逮捕しようとする刑事を止め、今西刑事が言い放ちます
「彼はもう、音楽の中でしか父親に会えないんだよ!」
不覚にも、また泣けました・・
「砂の器」
映画の冒頭にあります
「作っては壊れを繰り返す砂の器のように、人の幸せも儚いもの」
砂の器はどんなに完全に作っても、いずれは壊れる「宿命」なのだから・・・