早いもので、もう12月です!

12月というと、以前はクリスマス一色でしたが、最近は比較的おとなしくてイルミネーションだけが豪華になっている印象ですね。長年、アパレルの業界にいますが、近年ではハロウィンの方が盛り上がっている気がします。賑やかにジングルベルのクリスマスというより、上品に静かなクリスマスですかねえ(笑)

 

と言うことで・・次回からしばらく「クリスマス特番」!!

 

今まで観た映画の中から、クリスマスの映画ベストをレビューというかたちでなく、ランキング形式で発表したいと思います!

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さて、みなさんの「クリスマス映画」は?

観たこともない映画もきっとあるでしょうから、是非、聞かせて欲しいです!

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今日の映画は、初公開されてから20数年後・・確か高田馬場の名画座で観た記憶があります。その後、リバイバルで一度、レンタルでは何度も観ています。この映画のことは、もちろん知っていましたが史劇ということで敬遠していましたが、正直驚きました!

 

たぶん、こういう映画は二度と作れないと思いますよ!

 

テレビの台頭による観客の減少で経営危機に陥っていた老舗映画スタジオMGMを一気に立て直したという、とてつもない映画です!

 

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「ベン・ハー」

1959年/アメリカ

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ローマ帝国支配時代の、ユダヤ人王族のベン・ハーの数奇な半生を、イエス・キリストの生涯を交差させて描かれている、巨匠ウイリアム・ワイラーの超大作!



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監督/ウイリアム・ワイラー
 
ハリウッドの黄金期を支えた「巨匠中の巨匠」と呼ばれた名監督!当時主流だった、短いカットをつなぐ、いわゆるモンタージュでなくワンシークエンスで表現した演出で有名です!1942年に「ミニヴァー夫人」、1946年に「我等の生涯の最良の年」そして、この「ベン・ハー」で、なんと3度のアカデミー監督賞を受賞しています。ちなみに、最高獲得では、ジョン・フォードが4度受賞しています。その他にも、おなじみの「ローマの休日」「コレクター」さらに「友情ある説得」「大いなる西部」「ファニー・ガール」などなど、話題作がいっぱいの名監督です
 
<メインキャスト>
 
チャールトン・ヘストン
スティーヴン・ボイド
ジャック・ホーキンス
 
チャールトン・ヘストン!この人は、やはり大きな画面で観た方がいいです。「十戒」「大地震」などのスケールの大きい映画が多いですが「猿の惑星」を初めて観た時は衝撃でした!個人的には「パニック・イン・スタジアム」も好きです!メッサラのスティーヴン・ボイドは、何といっても「ミクロの決死圏」でしょうか、若くして亡くなって残念です。ジャック・ホーキンスは「アラビアのロレンス」「戦場にかける橋」に出演してます。後で知ったことですが、この映画に若き無名の頃のジュリアーノ・ジェンマがローマ人のチョイ役で出ているそうです・・気が付かなかったです
 
映画史上で観ておかなければならない映画があるとしたら、間違いなく挙げられる映画の中の一本です!

 

圧巻のストーリーと映像に、ただただ圧倒されます

 

驚くことに、この映画はCGは当然なく特撮での演出もなく、すべて実写なのです!

 

やることに妥協がないです!

 

エキストラは5万人と言われ、戦車シーンでの円形競技場は1000人以上のスタッフが一年かけて作り上げられた実物大のセットなのですから、あいた口がふさがらない(笑)。当時としては、まさに天文学的数字といわれる1.500万ドル(約54億)の製作費と6年半の歳月を費やして完成した超大作です。大作映画というと「アバター」「タイタニック」を思い浮かべますが、スケールだけでいうと、比較にならないくらいくらいの”大きさ”があります。例えば、美しいフォルムの新幹線やリニアカーが数百キロのスピードで走るのに対し、蒸気機関車が同じスピードで走る力強さと感動がありますね

 

もう、二度と作れないであろう映画・・・

 

「風と共に去りぬ」

「アラビアのロレンス」

そして、この「ベン・ハー」でしょうね

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ストーリーはシンプルで古典的
 
ユダヤの王子ベン・ハーの復讐と苦悩、そしてキリスト教への帰依を描いています
 
この映画には
愛があり、憎しみがあります!
友情があり、裏切りがあります!
希望があり、絶望があります!
平和があり、争いがあります!
 
家族・愛・信仰・友などの多くの要素を重厚に描いています
 
「奇跡は待つものでなく、起こすもの。運命は切り開くもの」
 
宗教色は若干強いですが、このあたりの時代背景や影響についての認識が自分にはありませんので、映画に対する感想のみにとどめさせていただきます
 
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ベン・ハーの数奇な運命!
 
ガレー船での戦闘、えき病、キリストの奇跡など盛りだくさんですが、圧巻はやはり四頭馬による戦車競走です!前代未聞のスピード感と迫力はどうでしょう!あの円形競技場を含め、すべて実写とは、とうてい信じられないです。212分(約3時間半)、どこをとっても圧巻の映像美とスケールはケタ違いの感があります
 
妥協を知らない映画です!
 
当初ベン・ハー役には、マーロン・ブランド、バート・ランカスター等が噂され、あのポール・ニューマンが有力視されていたらしいですが「人目にさらすほどの肉体でない」とオファーを断ったとのエピソードがあったようです(笑)やはり、この映画はチャールストン・ヘストンの映画ですね。このスケール感では、他の人では埋もれてしまいますから(笑)
 
劇場の大きなスクリーンで観て欲しいです!
 
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この映画は、第32回アカデミー賞を11部門獲得しています
 
これは、アカデミー賞史上最多タイで、97年の「タイタニック」と同数で今もなお破られていない記録です。参考までに、「タイタニック」は技術部門が中心に対し「ベン・ハー」は演技部門中心ですから、単なる大作映画でなく、ドラマの部分でもずば抜けていることがわかります
 
この年のノミネート作品が凄いですよ!
 
◆ジェームス・スチュアートの「或る殺人」
◆ビリー・ワイルダーの大好きな映画でモンローの魅力満載の「お熱いのがお好き」
◆ヘプバーンの「尼僧物語」
◆シモーヌ・モレニョの「年上の女」
◆「アンネの日記」
そのほか、「野いちご」、ヒッチコックの「北北西に進路をとれ」、「ボギーとベス」そして、幻の名画といわれる「渚にて」など
 
まさにハリウッドの黄金時代です!
 
 

ある意味、この映画はキリストが主人公です

 

観客は、ベン・ハーに感情移入し、復讐をとげたとき、彼と同じように虚しさを感じたのではないでしょうか?許すことを悟り、奇跡が起こる普遍的な人間ドラマでもあります

 

半世紀以上たっても、今だに色あせない圧巻の映像美と迫力を堪能してください!

 

映画ファンは当然、映画ファンでなくても是非観ておかなければならない一本です!