というわけで前回からの続き、「後編」です。
まずはMika Pikazoさんからすばらしいラフスケッチ4点が上がってきて、その中から幾何学模様を多様した案と狐面を付けた和風の案がセカンドステージへ進出。
そして“ワンダちゃん”というキャラクター性を鑑みた結果、幾何学模様を多様した案をクリーンナップするという方向性が定まりました。
その後のMika Pikazoさんは怒涛の勢いで、幾何学模様案ワンダちゃんのブラッシュアップ作業をスタートさせていくことになります。
こうして「決定稿」が描き上がったため、「さあ、この次は原型製作担当のウミヤマヒロシ氏(海山マテリアル)用に詳細稿や背面側の見えないディテール稿を描き下ろしていただこう」という話になりかけたのですが……なりかけたのですが……いやいやいや、ここまでカッチリとした決定稿が描き上がった段階でようやく、とある不安が頭をよぎることとなったのです(←完全なバカ)。
……もうですね、はっきり言って土下座100セットマッチ級のミステイクですよ。あり得ないレベルでの超バカ丸出し。Mika Pikazoさんの決定稿をじ〜っと1時間ほど眺めていたところ、ようやく基本中の基本たる問題に気付いたのです。
「……このデザインを3D化しPVC製塗装済み完成品にした際、ちゃんと製品価格が9,800円という枠組み内に収まるんだろうか?」。
そうなんです。じつは、この段階ではまだFILE:07 ポコさんVer.もFILE:08 Mika PikazoさんVer.も、それ以前と同じPVC製塗装済み完成品化を前提に企画が進行していたのです。ただしMika Pikazoさん版ワンダちゃんはあまりにもデザインがデコラティブだし使用色数も多いし、「……これってもしかしたら1万円オーバーの製品になってしまうのでは!?」ということに遅れ馳せながら気付いた、と。
そこでPVC製塗装済み完成品化パートをお願いしていた企画製造協力元である(株)グッドスマイルカンパニーさん(通称グッスマさん)の開発担当Y氏に同デザイン画を見ていただいたところ、思わず気絶するかのような驚くべきアンサーのメールが戻って来たのです。
「ひとことで簡潔に言ってしまうならば、とにかく歴代ワンダちゃんの中で成型が抜群に難しいです。金型代金も相当高くなりますし、さらに塗装工程数も膨大なため、販売価格はたぶん2万円近くになってしまう可能性が充分にあります」。
……2万円!!!!!!
それまでの9,800円でも一部の人たちからは「高くて手が出ない」という声が聞こえていたのに、いかなる理由があろうと2万円というのはさすがにあり得ません。そもそも“ワンフェスみやげ”がコンセプトなのに、2万円のお土産などという本末転倒な姿は主催者側としても絶体に施行してはいけない行為と言うしかありません。
そこでMika Pikazoさんには本当に大変申し訳なかったのですが、「9,800円で販売することが可能なデザイン」にまでデチューン=デザインの簡略化をお願いすることになってしまったのです。
繰り返しになりますが、Mika Pikazoさんへは土下座100セットマッチをしても謝罪し切れないミステイクを犯したとしか言いようがありませんでした。Mika Pikazoさん、その際は本っ当っにご迷惑をおかけしました。ここで改めてお詫びさせていただきます(……しかも、結果的にはPVC製塗装済み完成品化は中止となりレジンキャストキット形態での販売と化してしまったわけですから、二重でお詫びしないといけないという)。
というわけでMika Pikazoさん的には大いに不本意であったはずですが(本当に本当に申し訳ございません……(滝汗))、ここから「一度は決定稿に達したイラストのデチューン化」がはじまっていくことになりました。
そしてようやくその後、前述した「原型製作担当のウミヤマヒロシ氏用に詳細稿や背面側の見えないディテール稿を描き下ろしていただこう」という話に至り、彩色面でデチューン化された腰のリボン+下半身のディテール稿を描いていただき、Mika Pikazoさんとのお仕事はこれにて完了したのでした。
というわけで実際のところ、本プロジェクトに関わっていただいた途中からいま現在に至るまで、Mika Pikazoさんには感謝と謝罪の言葉しか思い浮かびません。
だからこそ、『ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト』のファイナルエディションとなる今回=FILE:08は、Mika Pikazoさんに対し1%でもプラス要因が舞い降りてくれることを切に祈るばかりなのです。
Mika Pikazoさん、今回は本当に多大なご迷惑をおかけしました。そして最後の最後まで精一杯ご協力してくださったことを、最大級に感謝しております。
それでは、次回からは原型製作編に突入です。乞うご期待!