2020年12月21日に富士山麓の青木ヶ原樹海へ行った時の記事を書きます。この日は早朝から樹海探検仲間の僧侶さんと一緒に行きました。目的地は富士山の側火山である大室山への案内です。樹海の南東にある県道71号沿いの駐車場に車を停めて、東側へ山歩きをスタートしました。まずは登山道を使わずに造林地を抜けて、本栖風穴第一を目指します。

 

途中にあった炭焼き窯の跡地。樹海にはたくさんあります。

 

途中で見かけた溶岩樹形。木があった場所に溶岩が流れて、木が燃え尽きて残った穴です。

 

というわけで本栖風穴第一。

 

30mほど下に崩壊したやぐらか梯子みたいなのがありますが、今では立ち入り禁止です。本当はそこから横穴がずっと続いているそうです。私が入ったことはありませんが。

 

この洞窟は青木ヶ原樹海を形成した貞観噴火(西暦864-865年)の溶岩から、火山ガスが噴出してできた溶岩洞窟で、天然記念物にも指定されています。

 

樹海と大室山を形成するふかふかした森の境目。溶岩が流れたときに、際の攻防があったのでしょう。

 

木の裂けめが作り出したふくろうが住めそうな穴。

 

鹿の糞はいたるところに落ちています。

 

大室山は3000年くらい前の噴火で、スコリア(小さな溶岩の石粒)で形成されているのと、古いために自然の土形成があるため、地面がふかふかしています。木も根っこを張りやすいために大きな木がたくさん生えています。これが青木ヶ原樹海だと、木が根っこを張れないため一定の大きさになると自重で倒れてしまいます。

 

昔から自分が好きだったミズナラの巨木を再発見できたのですが、葉っぱがおかしなことに。

 

なんとカシノナガキクイムシによる、ナラ枯れによって幹は穴だらけ木くずだらけで、すっかり立ち枯れの状態でした。

 

幹回り6.8メートルもある巨木で、何百年も生きてきたのに、この10年で病気に蝕まれほぼ枯れてしまいました。高さは約25メートルだとか。とても残念です。

 

ナラ枯れ病は、冬になっても枯れた葉っぱを付けたままなのが特徴です。とても大きい立派な木ですが、そのうち倒れてしまうことでしょう。

 

ミズナラやブナが生える大室山を登っていきます。登山道もたどれたのですが、途中でロストして結局斜面をひたすら登ることにしました。目的地は頂上なのでがんばればいつかは着きます。

 

枯れて倒れた木は、キノコに分解されて最後は土へと帰っていきます。

 

途中にあった造林の標識。

 

悪戦苦闘の末にようやく富士山の姿が見えてきました。

 

大室山には2つの頂上があります。こちらは高い方のピーク。標高1468メートル。高いけど見晴らしはよくありません。

 

南側にあるもう一個のピークからは、遠く駿河湾の海がキラキラと輝いて見えました。

 

 

もう一個のピークの方が富士山は開けて見えます。

ただこのあたりにはとげの生えた木が密集して生えていてちょっと危険です。

ださい話ですが、一眼レフのカメラがここで電池切れを起こして、2つ目の標識の写真は撮れませんでした。

 

もう一つの大室山山頂。こちらは低くて標高1447.5メートル。低いけど見晴らしはいいです。

 

山頂から少し東側にある、一番見晴らしがいい場所からすごい富士山を。これはスマホで撮影しました。手前にある丘はすべて大室山と同じような側火山です。ずっとみていたい景色でした。

 

さて西側に降り始めますが登山道がないので、斜面をひたすら降りていきます。

 

地面は石粒のスコリアだらけなので、柔らかくざらざらと崩れていきます。よく見るとその間に植物の根っこが入り込んでいるのも見えます。

 

木々の隙間から、本栖湖が見えます。その奥は南アルプスの山々かな?

 

実は噴火口のへこみが山頂直下にあるのですが、写真では木が生えていて全然わかりません。でも写真の中央部はボウルの底みたいになっている地形です。約3000年前に、富士山はここからスコリアを噴出したのでしょう。

 

落ち着いたカラマツの林まできたら、だいぶ下の方です。大室山をふりかえって。

 

カラマツも造林地です。昭和47年に植えられてました。上九一色村は2006年3月1日に町村合併で、現在は消滅してしまいました。大室山のあたりは、富士河口湖町になりました。

 

地面に落ちていた鹿の骨。人のものではないサイズです。鹿の糞も一緒に落ちていました。死んだ鹿は、肉食動物の餌となり、また微生物や虫に分解されて、自然に還っていきます。

 

なんとか日没前の午後4時くらいに帰ることができました。駐車場の展望台から。