私は地図を見るのが好きなのだが、前々から気になる地形が存在していた。関東地方某所のとある半島(よく見ると魚が上を向いたような形をしている)に池があるのだが、この池が変な場所にあるのだ。池は普通へこんだ場所にある。しかし見ての通り、半島の尾根筋にこの池はある。こんな地形は自然では噴火口ぐらいしかありえないが、ここは火山ではない。となると人為的なものとしか考えられない。
事前の文献調査によると、二次大戦中に対空高射砲と、それに連動した当時最新の対空レーダーがこの周辺の半島にあったことが判明した。池もそれに関連したものだろうか。


google mapで拡大してみると、池があるべき場所には木が生えていない。池らしい姿は見えないが、「何か」はあるのだろう。そこで実際に行ってみることにした。


ここは原則立ち入ることが難しい場所なのだが、道を駆使して進む。途中には軽便鉄道の跡なども存在している。





途中から道なき道をずっと進む。GPSと方位磁針に地図を駆使して、方角と地形の高低差を調べながら進む。正確な場所にたどり着かなければいけないため、身体だけではなく頭脳もかなり使う探索だ。


偶然見つけた水のたまるくぼみ。これはハズレ。


目当ての半島に入ると、笹が鬱蒼としてきた。さらに進む。


そして突然池が現れた。大きさは南北40m、東西30mほど。形はほぼ長方形をしていたため、やはり人為的な池だったと推測。トンボが多数飛び交い、人に荒らされることもない水生昆虫の楽園となっていた。




ここ何十年も、全く人の手が入っていないのだろう。


ハードなやぶこぎの末に到着した絶景にしばし見とれるzunnさん。


池の上側は、確かにひらけていた。


池には浮き草が生えていたため、師匠が調査する。この浮き草は外部からの移入による結果だ。立ち入りが制限されている場所なので、その前に誰かが放したのか、別の池や田んぼで浮草が付着した水鳥が飛来して、池に定着した結果だろうか。


池の西側には、コンクリートのよく分からない遺構があった。尾根筋にある池に、水を供給していた場所だろうか。


吐水舛(排水枡)だろうか。ともかく水がここを流れていたことは間違いない。高低差を考えると、最終的には池に流れ込んでいたと思われる。


見ての通りだが、とにかくコケだらけ。


時々、カメラが曇ってしまうぐらい湿度も高いため、コケには最適な環境だ。


水が出入りしていたと思われる穴。
結局、それ以上の遺構を発見することができなかった。
もしかしたら当時はポンプなどの機械もあったのかもしれない。

最初、約70年前の第二次世界大戦中の対空砲陣地関連の遺構かと思ったが、この周辺の歴史を考えるとさらに古く100年近くさかのぼる可能性もあるが、一体何なのかは分からず終いだった。
調査の結果、池と遺構を見つけることができたが、謎はさらに深まってしまった。

改めてこういった尾根筋の池の存在を考えているうちに、「配水池(配水所)」の可能性も浮かんできた。この小高い池から各所に水を配っていた可能性だ。この周辺の歴史と踏まえて、さらにチャンスがあれば調べていきたい。



篠竹が鬱蒼と茂る中を、強硬突破して脱出。

おまけ

何かの動物が住んでいる穴。タヌキかアナグマだろうか?


初めてみる、よろいに身をつつんだようなヤスデ。調べたら「ヤケヤスデ」という種類のようだ。