埼玉県飯能市にある龍崖山(りゅうがいさん)へ、下の子供を連れて行ってきた。標高は246メートル。それほど有名でもないが、危険もあまりなく、山頂では素敵な景色を見ることができた。


龍崖山へはバスで行くと、飯能駅南口から出る「美杉台ニュータウン」行きの西武バスに乗って、まずは終点まで。バスは10分間隔程度で出ているため、特に調べる必要もなく行くことができる。終点からは、(あまり面白くもない景色を)気合で1kmほど、龍崖山公園まで歩く。公園といっても、登山口があるだけで、山頂へはそこから約1.2km。


実はこの公園からは、巨大な洪水調節池と、「大河原地下調節池」という神殿のような巨大トンネルが口をあけているのだが、このレポートはまた追って掲載予定(未定)。


登山道の入口には、木製の龍のモニュメント。ちなみに訪問時には、近くの岩場にスズメバチの巣があり、蜂が飛び回っていたので急いで通過した。


階段で一部整備された急な坂を上り、途中からは切り立った尾根道へ。


すぐに到着した一つ目のピーク。景色は森の中。


登山道を下り続けて。


谷を通過。谷は湿地帯になっていて、調べたらトウキョウサンショウウオや希少な植物なども生えていそうな感じだ。



二つ目のピークへ到着。今回は南側への眺望が開けているが、工業団地の造成が終わったばかりなので、一部の工場や倉庫と、だだっぴろい工場予定地の草原、そして連なる山々と、他では見られない光景が広がっていた。


二つ目のピークは地図に名前は載っていなかったが、現地プレートでは「山(ひうちやま)」とあった。標高234メートル。山ということは、火打石に使う岩石のチャートで構成されているということだろう。


巨大な資材倉庫と、自然豊かな山々。ミスマッチな光景だ。


山々を行く鉄塔。


山から下りて、二つ目の谷を越えると。


再び登りになった先に、直径30センチ程度の穴ぼこが5つぐらい点在する光景が現れた。一つぐらいだったら、タヌキやアナグマの巣とでも思うだろうが、実は違う存在だ。


小さな穴。


実は、龍崖山の内部には鉱物のマンガンがあり、第二次世界大戦中には実際に採掘されていた。これらの現存する穴も調査用、もしくはごく小規模な採掘で使われたものと言われている。



最後の切り通しを越えて。



三つ目のピークが、ようやく龍崖山の山頂!山頂は広々としていて、景色も空気も良く、とても気持ちのいい場所だった。写真に撮っていないが、山頂でおじさん四人組が宴会をしていて、楽しい会話をすることもできた。


東側の東京・埼玉中心部方面。東京スカイツリーや、西武ドーム球場も見ることができた。


西側の奥武蔵、秩父方面。


米軍横田基地に着陸するC-17輸送機が、秩父方面から飛来し、飯能上空で南へ針路を変えて、横田基地方面へと向かっていった。


さて、龍崖山の頂上から200mほどの北鹿山麓。分岐は閉鎖されている男坂ではなく、女坂の方を行くとこのようなマンガン採掘鉱山の坑道が大規模に現在も口をあけている。坑道は幅1.3mほど、高さ1mほどと小さい。



立ち入りは禁止されている。といっても無理やり入ろうとすればできるかもしれない。しかし奥行40メートル程度で行き止まりになっているため酸欠の危険があるのと、明らかに支保(木や鉄骨などで落盤を防ぐ構造)がされていないため落盤の危険性が高く、とても入る気はしない。
山の中でもあるため、コウモリの生息地や、冬は昆虫の越冬地にもなっていそうであり、これからもそっとしておくのが一番良いと思う。



マンガン鉱山の説明板。マンガンはレアメタルとしてマンガン電池など様々な使い方ができるが、鉄に混ぜると非常に固く強くなるという特性もある。軍事用にも使われ、戦中は非常に不足した。こんな小規模な山でもマンガンの採掘をしたということが、その不足を物語っているともいえる。産出は少なかったようで、戦後すぐに廃止されたようだ(正確な閉山年は不明)。



女坂(左)と男坂(右)が再び合流した。南側を振り返って撮影。なお男坂方面は、道の崩壊のため立ち入り禁止されているため、女坂ルートが公式な「龍崖山コース」となっている。


山を下りて民家の脇をすりぬけ。


ついにもう一方の出口到着。登山というよりも、トレッキングのような道だった。登山道も分かりやすい一本道で、景色や鉱山の坑道とバラエティに富んでいて、なかなか面白い山歩きだった。