ほんの少し前、ツイッターで親族の方が行方不明になり、自殺目的で青木ヶ原樹海に行った可能性が高いという人がいたので、いろいろ助言をさせていただいた。結果は衰弱した状態だったものの行方不明の方から直接電話があり、無事に保護されたとの連絡があった。

もしかしたらそういった人探しの需要があるかもしれないと思い、自分の知識を書いてみる。

1、樹海への行き方
公共交通機関を使う場合、電車にせよバスにせよ富士急行の河口湖駅を経由するケースは非常に多い。新宿駅や三島駅からの高速バスも河口湖駅に着くため、そこからバスやタクシーを乗り継がなければ樹海へは行けない。ちなみに徒歩で樹海に行くためには3時間程度かかる。
河口湖駅から樹海方面へ向かうバスは、富士急山梨バスの西湖・青木ヶ原周遊レトロバスや、河口湖レトロバスがあり、自殺志願者が使うバス停もだいたい決まっている。

「鳴沢氷穴」(氷穴)
「富岳風穴」(風穴)
「西湖コウモリ穴」
だいたいこの3つのバス停が主に使われる。どこも観光地であり施設のスタッフや観光客がいる場所なので、目撃されている可能性もある。

またJR富士駅や新幹線の新富士駅が始発で、河口湖駅まで行くバスもあり、このバスでは直接上記のバス停まで行くこともできる。時刻表などはこちらだ

車で向かった場合には駐車場があまりないため、車を放置できる場所も限られてくる。主に乗り捨てられるのは次の場所だ。富岳風穴、鳴沢氷穴、山梨県道71号富士宮鳴沢線の展望台。可能性としては野鳥の森公園やコウモリ穴、近隣の林道に乗り捨てられるケースもあるが、上記の三点で放置車両を見かけることが非常に多い。
その他だが、河口湖消防署上九一色分遣所(国道358号と国道139号の合流地点近く)南側もチェックしておくと良いかもしれない。

2、自殺志願者のいる場所

生きている場合には、樹海に入った周辺の観光地や遊歩道にいる可能性が高い。
亡くなっている場所は、あえて書くとこの場所だ。

・富岳風穴売店の南方周辺1km以内
・西湖コウモリ穴事務所の南方周辺1km以内
・鳴沢氷穴事務所の南方周辺1km以内
・河口湖消防署西部出張所(国道139号と県道71号の合流地点)の南方2km以内、県道71号東側沿い

横方向に行く場合もあるが、なぜか基本的には入った場所から南の方向に人は進むようだ。また1kmとか書いたが、実際には観光地から200~500mといった近い場所で亡くなっているケースも非常に多い。これは樹海内部で体力も経験も適正な装備もなく、直線に歩くことは困難であるため、比較的近いところで亡くなっている。県道71号沿いは県道が歩きやすいため、県道沿いには奥まで進むが、そこから東側の樹海へはそう奥に入ることはまずない。
官報の行旅死亡人の履歴を調べると、このエリアで全体の85%はカバーできるはずだ。他にもバス停もある西湖野鳥の森公園付近にいる可能性もあるが、この周辺は少ない。
逆の言い方をすれば、樹海探索はしたいけど、ご遺体は見たくない場合や警察への通報で時間をとられたくない場合は、この場所を避けていれば遭遇する可能性はかなり下がる(でも時々見つけちゃうけど)。

また志願者はやみくもに樹海に入るのではなく、特に若い人は『完全自殺マニュアル』という本を見て入るケースが非常に多い。この本でお勧めスポットとして紹介されている、県道71号沿いの東側ゾーンは定番の場所だ。他には富岳風穴周辺のケースも非常に多い。

しかし、広い樹海で特定の誰かを探すことは容易ではないことを記しておく。やみくもに探すのではなく情報収集をメインにして、少しでも情報があればその付近を重点的に探す方が効率的だろう。

3、調査方法
青木ヶ原樹海のある山梨県富士河口湖町や鳴沢村を管轄するのは、富士吉田警察署 だ。そのため110番ではなく、警察署に直接連絡を取り相談するのが一番早い。放置車両のナンバープレートから分かる場合もあるし、もしかしたら目撃情報が寄せられているかもしれない。また衰弱した志願者が保護されている可能性もあるだろう。
また
バスやタクシー会社、富岳風穴や鳴沢氷穴といった観光地に電話をして、情報がないか聞くのも一つの方法だが、先方は仕事をしている中での対応であり、あくまで善意の協力を求めることを忘れてはいけない。

この他、携帯電話を持っている場合には、携帯会社に調査を依頼し、直近で受信された電波基地局を調べてもらうという手法もあるようだ。実際に調べてもらったケースもあるが、携帯会社に断られたという事例もあるようなので、警察や携帯会社に相談してみるのが良いかもしれない

最後にネット、特にツイッターなどで情報提供を呼びかけるという手法もある。私のようにツイッター から引っかかって協力する人もいるかもしれないし、地元の人につながる可能性も非常に高い。

4、穴場

過去に「樹海で死ぬ」という遺書を残した人の捜索依頼を受けたことがあるのだが、その人は結局神奈川県内にあるその人の知人の家で見つかったことがある。こういった実体験を樹海関係者から複数聞くので、別のところで失踪した上で生きていることも実はあるのかもしれない。行方不明者を探している人は、交友関係や行きそうな場所をもう一度洗ってみたらよいのかもしれない。



とりあえず自分が知りえる知識を一通り書いてみた。
もし本当に困った人がこれを見て、捜索に生かしてくれたとしたらとてもうれしく思う。