昨年の今頃、山梨県北杜市（旧高根町）にある「たかね荘 美し森キャンプ場」の前に、廃蒸気機関車があるという話を仲間に教えてもらったので撮影をしてきた。蒸気機関車の車種はC56の149号機。C56はかつて近くの小海線を走っていた頃は、「高原のポニー」という愛称を持っていたSLだ。C56型蒸気機関車は、ＪＲ西日本梅小路運転区所属の160号機と、静岡県の大井川鉄道で走っている44号機（戦争中にタイとビルマを結ぶ泰緬鉄道で活躍してから再び日本に戻り、最近ではタイ国鉄での形に復元されている）の2両のみが現役で走っている。たまたま宿泊した民宿の親父さんは、この汽車が鉄道から降ろされ、三分割されて、トラックで現場に運ばれるのを見に行ったとか。
しかし、SLが置かれているたかね荘では野ざらしで放置されるがまま。プレートの類も、誰かに持ち去られていた。たかね荘で働いている人の良さそうなおばちゃんと話をしたら「大事にした方がいいんだろうけどねえ。役所の人に提案してみようかしら」などと言っていた。
この汽車は駐車場からも少しはずれた森の中で、朽ちるがままにその車体をさらしていた。全てが鉄サビとなり消えてなくなるのも時間の問題だったが、このSLは今年に入り劇的な転機を迎えることになる。