国立編訳館 著 蔡易達・水山秀樹 訳
雄山閣出版 2020年
台湾関連です。すんませんね、台湾に興味があるものでどうしても台湾関連が多くなります。
大雑把に言うと台湾の教科書です。中学生が使用していたモノだそうです。
中国語でいうと『認識台湾』
つまり、台湾について学習しましょうという教科らしいのですが、
元々歴史編、地理編、社会編、とあったようですがコレは歴史編。
台湾の歴史は非常に複雑なので,自分のような付け焼き刃が説明すると諸々誤解が生じるのですが
戦後日本の統治が終了し、中華民国の統治となった台湾では、
かなり長い間、歴史や地理というと中国本土のことを教えていたそうです。
そもそも中華民国自体が本来本土から台湾に移動してきた政権ですし
かなり最近になるまで教科書上では南京が首都、という立場だったそうですしね。
で、台湾の総統が李登輝さんになって民主化が進み、『台湾人』意識みたいなものが取り上げられる中
『とは言っても,自分ら本土の歴史は知ってるけど実のところ台湾の歴史ってあんま知らないよね。いままであんまり教わらなかったよね』
という事になり1997年から2000年代初頭まで中学校ので使われた、というものだそうです。
90年代末から2000年代初頭に十代前半ってことは、今は大体30代後半ってとこでしょうか。
2000年代初頭以降は別途授業に吸収されてやはりこれと同じようなことは学習しているそうです。
と、まあとにかくそういうバックボーンのある本。
日本人の自分から見たらそうとう淡々と事実が記載されている感じです。
大まかな流れを把握したいのであれば、非常に優良な書籍だとおもいます。
その上で、それぞれの状況をクローズアップした書籍を興味に応じて読んでいけばよいのではないかと。
あくまで概説なので、それを実体験した人達の感情や当時の空気感みたいなものは
ほとんど言及されてませんでしたのでそこらは各自で補う必要があると思います。
そのあたり、各項目ごとに『更にもう一歩深めてみよう』みたいな形で
身の回りにある当時の施設を調べてみよう、とか
身の回りにいる当時を体験した人やその家族に話を聞いてみよう
みたいな課題が記載されていたようです。
ただ残念ながら、もう今から20年も前の話なので
このあたりの話を直接聞くことができる世代はドンドン少なくなっているんだろうなと。
いずれにしても、台湾の歴史を軽くなぞるという意味では秀逸な本です。
すぐ読み終わるし。
現代台湾を観るにあたって、
原住民、漢人、中国本土の王朝、日本、中華民国、中華人民共和国、国民党、
これらがとう言うふうに入り乱れてきたのか、どういう影響を与え、受けてきたのか。
このあたりの知識はあったほうが多分良いので。
暫く台湾には行けそうもないし、旅行に行けない時間を読書に宛てるのもいいと思います。
次に行った時台湾の人や景色が違ったものに見えるかも。
(それを期待しつつ、引き続き台湾関連書籍をぽちぽち読みたいなと思います)